そもそも損金とは?損金にできない事例について
2022/06/13
そもそも損金とは?損金にできない事例について
損金とは
損金とは、資本等の取引によるものを除き、法人の資産の減少の原因となる原価や費用、損失の額を言います。また、益金とは資本等の取引によるものを除き、法人の資産を増加させる収益の額を言います。
会社の利益は「収益 - 費用」で計算され、所得金額は「益金 - 損金」で計算されます。注意すべき点として、必ずしも利益と所得は一致しないということです。なぜなら、収益=益金にならない場合や費用=損金にならない場合が存在するからです。今回は、間違えやすい費用=損金にならない事例についてまとめます。
費用=損金にならない事例
会社が費用として計上したものは、無制限に損金になるわけではありません。課税の公平を守るために、税法では「別段の定め」において費用として計上したものを「その全部を損金としない」または「その一部を損金としない」という限度をもうけています。では、どういった場合に費用 = 損金にならないのでしょうか。代表的な事例をいくつかまとめました。
法人税や住民税は全額損金にならない
税金の中で、損金にならないものがいくつかあります。法人税や住民税、延滞税や加算税などペナルティとして課された税金に関しては全額が損金になりません。逆に、法人事業税や酒税、固定資産税、不動産取得税などは損金にすることが出来ます。
不当に高額な役員報酬は損金と認められない
役員報酬は税務上の制限があり、「毎月同額でなくてはいけない」「事前に税務署に届け出ている」などの要件を満たしている必要があります。
役員報酬は社長自身が給与を決めることが出来ます。そのため、利益が出たために期末に賞与や報酬を出して損金にし、納税額を減らそうとすることも出来てしまいます。このように、役員報酬や賞与の額を自由に変えることが出来た場合法人税の負担を不当に免れることが可能になってしまいます。
そういったことを防ぐために、税法上のルールが厳しく定められており、要件を満たしておらず不当に高い役員報酬については損金にすることが出来ないこととされています。
交際費は限度を超えたら損金にならない
交際費とは取引先との円滑な取引を実現するために行われた接待や贈答品などにかかる支出を指します。税務上、中小企業では一定額までは損金にすることが出来ますが、限度額を超えたところからは損金とならない損金算入限度額が定められています。上限無く交際費の損金算入を認めてしまうと、多額の交際費を計上して不当に税負担を免れる可能性があるためです。
資本金1億円以下の法人については以下の特例が設けられています。
平成26年4月1日から令和4年3月31日に開始する事業年度において ① 交際費が年間800万円未満の場合…交際費の全額が損金 ② 交際費が年間800万円以上の場合…800万円が損金 |
交際費の損金算入限度額は資本金の額によって異なります。
資本金が1億円より多く100億円未満の法人の場合は交際費の内飲食費の額に50%を乗じた額となり、資本金1億円以下の中小企業の場合は前述した計算方法と特例の選択適用となります。また、資本金が100億円をこえる法人については、支出した交際費全額が損金不算入です。
費用 = 損金となるケース一覧
これまでご紹介してきた通り、費用は必ず損金になるとは限りません。しかし、損金にならないケースはあまりなく、専ら営業のために供する費用であればほとんど損金になることが多いです。費用がそのまま損金として認められるものの例は以下の通りです。
・広告宣伝費…会社のホームページや商品のパンフレットなどの宣伝にかかる費用 ・旅費交通費…電車や、バス、タクシー代など事業に関する移動にかかる費用 ・通信費…インターネットの利用代金や電話代など通信にかかる費用 ・水道光熱費…ガス代や水道代、電気代などの費用 ・修繕費…資産の修繕にかかる費用 ・事務用品費…文房具など事務用品の購入にかかる費用 ・外注費…外部業者への業務委託料 ・地代家賃…会社や店舗、事務所や駐車場の賃借料 ・人件費…社員の給与や賞与、福利厚生費など |
まとめ
今回は損金の意味と損金になるものやならないものについてご紹介しました。費用がそのまま損金に出来ないにも関わらず損金として計上してしまうと、税務署から問い合わせが来る可能性があります。
正確に経理処理を行い、適切な節税対策を行いましょう。
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