税理士法人掛川総合会計事務所

個別対応方式

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個別対応方式と一括比例配分方式の
概要や違いについて

個別対応方式と一括比例配分方式の概要や違いについて

2022/08/08

 課税売上に係る消費税額から控除する課税仕入等に係る消費税額、いわゆる仕入控除税額は「課税期間中の課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合95パーセント以上」の場合、課税期間中の課税仕入等に係る消費税額の全額を控除することが出来ます。

 一方、上記の条件に該当しない(課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上高が95パーセント未満である)場合、課税仕入等に係る消費税額の全額が控除されるわけではなく、算出することが必要です。

 その際に用いる方法として「個別対応方式」「一括比例配分方式」の2つがあります。本記事ではこの2つの計算方法について解説していきます。

1.個別対応方式

 まず個別対応方式ですが、課税仕入に係る消費税額を以下の3つに区分したうえで仕入税額控除の額を算定します。なお、区分するのは課税仕入であり、非課税仕入や不課税仕入は関係ありません。

 ① 課税売上高にのみ対応する課税仕入に係るもの

 ② 課税売上高・非課税売上高に共通して対応する課税仕入に係るもの

 ③ 非課税売上高にのみ対応する課税仕入に係るもの

 

 控除の可否について①は全額控除可、②は課税売上割合分のみ控除可、③は控除不可となっています。一例ですが、売上原価は①に、販管費は②に該当する場合が多いです。支払った消費税は原則控除されますが、いくら課税仕入であったとしても非課税売上に対応するものまでは控除できないということです。

 ③に該当する代表的な例として土地売買仲介手数料や有価証券売買手数料などが挙げられます。因みに、居住用賃貸不動産の購入については、2020年10月の消費税法改正により仕入税額控除が出来ないことが明記されましたので注意しましょう。

こうして3つに区分した後、以下の式にあてはめることで仕入税額控除の額が算定できます。

 

  控除対象仕入税額 = ① + ( ② × 課税売上割合 )

 

 この方式を採用する場合、届出書の提出や継続適用の要件などはありませんが、取引ごとに課税区分の判断をする必要があります。日々の帳面作成段階で区分する必要があるため、実務的に手間がかかる点に注意しましょう。

 また、この方式を採用する際にどこまでが①でどこまでが②なのか悩まれる方が多くいらっしゃいます。例えば電気代は建物全体にかかるため、②に該当すると考えられます。しかし、本来であれば製造や営業にかかる電気代は①にすることが出来るため、すべて②としてしまうと損をしてしまう可能性があります。

 その場合、法令通達11-2-19によると生産実績その他の合理的な基準により①と②とに区分することが可能なものについて、合理的な基準によって区分している場合はその区分を適用して差し支えないものとしています。しかし、この通達を適用する場合は合理的な基準が必要になります。そうした根拠となる数字を明示出来ないのであれば、②に区分するのが賢明です。

2.一括比例配分方式

 次に一括比例配分方式について解説します。この方式では個別対応方式と異なり、課税仕入を区分することはしません。課税仕入税額に対応する税額に対し課税売上割合を乗じることで、一括して仕入税額控除の額を算定する方法です。式にすると以下の通りです。

 

  控除対象仕入税額 = 課税仕入総額に係る消費税額 × 課税売上割合

 

 この方式を採用する場合、個別対応方式と同じく届出書の提出は必要ありませんが、一度この方式を採用した場合は2年間継続して適用する必要がありますので注意しましょう。

3.どちらを採用するかの判断基準

 最後に、それぞれの算定方式を比べた際に有利になる場合をまとめます。

 結論として、①が多い場合は個別対応方式を採用した方が、控除額が多くなる可能性が高いです。そうした場合に一括比例配分方式を採用した場合、本来全額控除できる①の部分も課税売上割合分しか控除できないためです。

 逆に③が多い場合は一括比例対応方式を採用する方が、控除額が多くなる可能性が高いです。個別対応方式では控除不可となる部分も、一括比例配分方式の場合は課税売上割合分が控除対象となるからです。しかし、③に該当するものは上述した通り限定的であるため、基本的には個別対応方式を採用した方が有利になる場合が多いと考えられます。

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。仕入税額控除の計算方法2種類の概要と採用するにあたっての判断基準をまとめました。自身の業種や対応する課税仕入、仕訳の際の実務的労力などを考慮したうえでどちらの方式を採用するか総合的に判断しましょう。

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