税理士法人掛川総合会計事務所

自社株の買戻しの税務 自社株を買い戻す場合に税金が課税される!?

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自社株の買戻しの税務
自社株を買い戻す場合に税金が課税される!?

自社株の買戻しの税務 自社株を買い戻す場合に税金が課税される!?

2023/04/10

平成18年5月1日の会社法の施行によって、株式会社は資本金1円から設立が可能になり、設立時の資本金にかかるハードルはなくなりました。

一方、それまでの旧商法では、株式会社の設立には1,000万円の資本金が必要であり、取締役が3人以上必要であったため、本来経営にはあまり関与しない知人などに依頼して株主や役員になってもらった場合があるかもしれません。

設立当時の出資者や経営者も今となって事業承継する段階になり、自社の株主の中に親族以外の人物がいて、その持ち株の取り扱いに悩む場合があるかもしれません。

設立当時は迷惑をかけないから名前を貸してもらうということで安易にお願いしたことが、今となっては重荷になることもあるかもしれません。

経営者グループ以外の株主から株式を買い取る場合の税務上の取り扱いについて事例をあげて紹介します。

1 会社の成長とともに株式の時価も上昇する

30年前に資本金1,000万円(1株あたり5万円×200株発行)で設立したA社は、毎年の業績がよく、現在では1株あたりの時価が設立当時の10倍の50万円になっています。

設立時には、180株の出資を親族でまかなったものの、200株のうち10株について知人のB氏に出資を依頼し、残りの10株については、知人Cが経営するC社に出資をお願いしました。

B氏、C社には、毎年利益の配当をし、今まで何も問題も起こらず経営してきましたが、創業者も高齢となり事業承継を考える段階になりました。

この際、B氏およびC社の持ち株についても株主構成を是正したいため、創業者の後継者Eが買い取りたいと考えています。

2 買い取り価格はいくらが適正か?

上場会社の株式の取引では株式は時価で取引されます。

上場会社の株式の取引に倣った場合、出資時に1株5万円だった株価は現在では10倍の50万円の評価額になっているのですから、10株の場合はB氏、C社とも500万円、合計1,000万円で買い取るのが適正な取引価格となります。

大きな額になってしまい、創業者親子は驚いています。

そこで、創業者親子は恐る恐るB氏とC社の社長に対し、株式を買い取りたい旨を打診したところ、B氏、C社とも「毎年配当ももらっているし、出資当時の1株5万円で買い取ってもらえればいいよ」という返事でした。

想定していた金額の10分の1の価格で買い取りができることになり、創業者親子は一安心です。

実際、このような事例は多くあります。創業者とは旧知の仲であるし、毎年配当を受けているなどの理由で、売却する側としても高い金額は提示できず、出資時の金額で買い取ってくださいというのは頷ける話です。

しかし、時価1,000万円の株式をその10分の1の対価100万円で譲り受けることに問題はないのでしょうか?

3 B氏所有株式の買い取りの税務

B氏が所有する株式を後継者Eが買い取る場合は、個人から個人への株式の譲渡にあたります。

この場合売主Bは譲渡所得の課税を考える必要がありますが、設立時に50万円を出資して取得した株式を50万円で後継者に譲渡することになり、譲渡収入から取得費を控除すると譲渡益は0円になります(50万円ー50万円=0円)

結果、B氏には所得税は課税されません。

一方、後継者Eは時価500万円の株式を50万円で取得したことがB氏からの著しい定額の譲渡に該当し、差額の450万円の経済的利益について贈与税が課税されます。

せっかく安く買い取ることができたのに、贈与税が課税されてしまいます。

4 C社所有の株式の買い取りの税務

C社が所有する株式を後継者Eが買い取る場合は、法人から個人への株式の譲渡にあたります。

この場合、売主であるC社は時価の2分の1未満で株式を譲渡することになるため低額譲渡の課税を受けます。譲渡益450万円(500万円ー50万円=450万円)が法人税の課税対象になります。

また買主EはC社とは関係のない第三者であるため、450万円はEに対する寄付金になります。

C社の仕分けは以下の通りです。

【借 方】(寄付金)450万円  【貸 方】(譲渡益)450万円

一方、買主Eは時価500万円の株式を50万円で取得できたのですから差額の450万円について利益を受けました。

C社側では寄付金で処理したので、E側では法人からの贈与にあたり一時所得として所得税が課税されます。

5 まとめ

このように、時価より安い価格で株式の取引をした場合は、上記のそれぞれの場合のように、贈与税、法人税、所得税が課税される場合があります。

売主と買主の双方の負担が少なくすむ価格での取引が税務上は理想ですが、あくまで、株式の取引は売主、買主双方が納得する価格ですることが大前提です。

税金を少なくするために取引価格を決めるのでは順番が逆になってしまいます。

また、上記では2つのパターンのみ紹介しましたが、これ以外にも、個人と法人の間の株式の取引は様々なパターンが考えられます。

それぞれのパターンで考慮すべきことはたくさんありますが、安く買えたと思ったら多額の税金が課税されたとか、売主にも負担を強いることになったなどと言うことがないように、充分検討することが必要です。

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