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相続登記の申請義務化~家・土地の相続「過去も対象」に~

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相続登記の申請義務化
~家・土地の相続「過去も対象」に~

相続登記の申請義務化~家・土地の相続「過去も対象」に~

2023/05/01

令和6年4月1日施行の法改正により、これまで任意だった相続登記が義務化されます。所有者不明土地の解消を目的とし、過去の相続も対象です。ここでは、新制度と今後の対策やそれに伴う法改正について説明していきます。

1. 相続登記の義務化

相続登記(不動産登記)とは

相続登記とは、不動産(土地、家、マンションなど)の所有者が亡くなった場合、法務局で不動産の名義を故人から相続人に変更する手続きのことを言います。

義務化の背景

相続登記が義務化されるのは、「所有者不明土地問題」の解決のためです。これまでは相続登記の義務がなかったため、すぐに登記をしないケースが多く、長い期間を経て土地の所有者がわからなくなるという事態が生じていました。その結果、所有者がわからないため取引(売買等)もできず、再開発、公共事業などの復旧・復興事業等の支障となっていました。また、所有者による自発的な管理が行われる確率が低い土地であり、適正に管理されないまま放置されることにより、周辺地域への土砂の崩落などの災害や、害虫の発生などの悪影響の要因となる場合もあります。

新制度のスタート

相続登記が義務化されるのは、令和6年4月1日からです。これにより、令和6年以降は相続人が相続・遺贈による不動産の取得を知ってから3年以内に登記申請することが義務付けられます。また、法改正以前に亡くなった人から相続した不動産も相続登記が義務化されるため、できるだけ早く登記を行う必要があります。

2. 令和6年4月1日施行の法改正ポイント

違反に対する過料

制度改正により、正当な理由がないのに不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。しかし、相続人が極めて多数に上るなど、関係者が多く戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合などは、罰則の対象外です。

「相続人申告登記」の新設

相続人申告登記とは、不動産を相続した人が法務局の登記官に対し、自分が不動産の相続人である旨を申し出て、職権で登記してもらう制度です。相続人が複数存在する場合でも各相続人は単独で申出ができ、特定の相続人に代理申出をしてもらうことも可能です。こちらの制度も、令和6年4月1日からスタートします。

遺産分割の話し合いがまとまらない等の事情がある場合の予備的な登記で、登記名義人に相続が発生したことを申し出ることにより、申請義務を履行したものとみなされ、過料を一時的に免れることができます。登記手続きは無料ででき、必要となる資料も通常の相続登記よりも簡易なもので足ります。

(※遺産分割が成立した場合の相続登記の義務を相続申告登記によって免れることはできず、速やかに相続登記を行う必要がありますので注意しましょう。)

3. 今後の対策と制度

不動産を相続したら

相続人の間で遺産分割の話し合いが整った場合には、その結果を踏まえた登記をすることになります。話し合いが難しいような場合は、ひとまず、前述した新制度である「相続人申告登記」の手続きをとることで、義務を果たすこともできます。

(※「相続人申告登記」は、相続によって権利を取得したことまでは公示されないので、従来の登記とは全く異なるものです。)

不要な土地を手放したい

相続した土地の中に、特に使っておらず放置状態で、処分したいが買い手もいないというものはありませんか?土地が遠方にあり、なかなか様子を見に行けないという話もよく耳にします。そんな時に使えるのが「相続土地国庫帰属制度」です。これは相続・遺贈などで取得した土地を相続人が手放し、国に引き渡すことができるという制度で、令和5年4月27日からスタートします。

国庫への帰属が認められるためには、要件があります。以下のような土地は引き取りができないため、注意が必要です。

 ① 建物がある土地

 ② 担保権や使用収益権が認定されている土地

 ③ 所有権の存否、帰属、範囲について争いがある土地

 ④ 通路その他の他人による使用が予定されている土地等

引き取り可能な土地は負担金を納めることで手放すことができます。負担金は土地種目別に分かれており、以下の表のようになっています。

4. おわりに

法改正によって、不動産の相続に関する項目が大きく変わります。相続登記の義務化は過去の相続に対しても対象になるため、特に注意が必要になりそうです。相続でお困りのことがありましたら掛川総合会計事務所にお気軽にご相談ください。

 

(参考 法務省:マンガで読む法改正・新制度 総合版)

(参考 法務省:マンガで読む法改正・新制度 不動産登記法・相続土地国庫帰属制度編)

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