国内における消費税の非課税取引について
2023/06/05
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引及び国内で消費する消費税が課税される物品の輸入取引を課税の対象としています。しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。
目次
2⃣ 非課税取引の内容 ⑵ 社会政策的配慮 3⃣ 個別具体例 4⃣ まとめ |
国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であっても、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引があります。これを非課税取引といいます。
例えば、土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などの取引がこれに当たります。
消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引です。これに当たらない取引には消費税はかかりません。これを一般的に不課税取引といいます。例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たります。
非課税取引と不課税取引では、消費税が課税されないことは同じですが、課税売上割合の計算においてその取扱いが異なります。課税売上割合は、分母を総売上高(課税取引、非課税取引および免税取引の合計額)とし、分子を課税売上高(課税取引および免税取引※の合計額)としたときの割合です。
非課税取引は、原則として分母のみに算入しますが、これに対して、不課税取引は、そもそも消費税の適用の対象にならない取引ですから、分母にも分子にも算入しません。
※免税取引とは国内から国外への物品の輸出や旅客の輸送のこと
例)航空料金や国際電話など
2⃣ 非課税取引の内容
・土地の譲渡及び貸付け
・有価証券等、クレジットカード加盟店手数料
・貸付金等の利子、保証料、保険料など
・郵便切手類、印紙及び証紙の譲渡
・商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
・住民票、戸籍謄本などの行政手数料
・外国為替業務に係る役務提供
⑵ 社会政策的配慮
・社会保険医療の給付など
・一定の社会福祉事業など
・助産
・埋葬料、火葬料
・一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付けなど
・一定の学校の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費など
・教科用図書の譲渡
・住宅の貸付け
3⃣ 個別具体例
土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています(非課税取引)。なお、土地の貸付けのうち、貸付けに係る期間が1か月に満たない場合および駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税にはなりません。土地には、土地の上に存する権利も含まれます。土地の上に存する権利とは、地上権、土地の賃借権、地役権、永小作権などの土地の使用収益に関する権利をいいます。
事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象となります。この場合、家賃を土地部分と建物部分とに区分している場合でも、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱われます。なお、住宅用としての建物の貸付けは、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税となります。 ただし、契約において住宅用であることが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます。)に限ります。
また、権利金、敷金などの取扱いについては以下の通りです。
⑴ 地上権、土地の賃借権の設定に伴い授受される更新料や名義書換料は、土地の貸付けまたは土地の上に存する権利の設定の対価として、非課税となります。
⑵ 事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料な どのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となりますので、資産の譲渡等の対価として課税の対象となり、契約の終了により返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはなりません。ただし、住宅用建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などのうち、返還しないものは非課税となります。
商品券、ギフト券、旅行券のほかテレホンカードなどのいわゆるプリペイドカードの譲渡は、物品切手等の譲渡として非課税とされています。
(注)商品券などの譲渡に課税すると、最終的に提供を受ける商品やサービスが同
じ一つのものであるにもかかわらず、二重に課税されることになります。
したがって、このような二重課税を避けるために商品券などの譲渡には課税
しないことになっています。
商品券やプリペイドカードを使用して商品を購入等した場合は次の通りの取扱いとなります。
① 課税仕入れの時期
商品券など物品切手等を用いる取引では、物品切手等の購入は非課税とされ、後日、物品切手等を使って実際に商品の購入やサービスの提供を受けた時が課税の時期となります。すなわち、仕入れに含まれる消費税額の控除は、商品券などを購入した時ではなく、後日その商品券などを使って実際に商品の購入またはサービスの提供を受けた者がその時に行うことになります。
なお、事業者が自ら使う商品券などで継続して購入した日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合は、その経理処理が認められることになります。
② 課税仕入れに係る支払対価の額
事業者が自ら使う商品券などの物品切手等を購入した場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、引換を受けた商品やサービスの価格ではなく、その物品切手等の購入に要した金額となります。
また、チケット業者が販売する郵便切手、印紙、証紙は非課税取引とはなりませんが、物品切手等の販売は非課税取引になります。物品切手等とは商品券、ビール券、図書券、QUOカードのことであり、それと引き換えに商品の給付を受けることができる「請求権を表彰する証書」をいい、通達6-4-3を参照すると「請求権を表彰する証書」とは、証書の所持人に対してその作成者又は給付義務者がこれと引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の提供をすることを約する証書をいい、記名式であるかどうか、又は当該証書の作成者と給付義務者とが同一であるかどうかを問いません。
4⃣ まとめ
今回は非課税取引について説明しました。例えば国、地方公共団体等が法令に基づいて徴収する登記、登録、特許、検定や試験の手数料等について課税か非課税、または不課税なのか判断に迷う場面が生じたとします。答えとしてはどちらも非課税になるのですが、その答えにたどり着くまでに書籍などで確認をして判断をしていくことになります。非課税取引と不課税取引に関しては判断に迷う場面が生じることが多くあるかと思いますので、もし相談ごと等ありましたら、当事務所までご連絡をいただければと思います。
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