災害時の申告期限の延長や納税の猶予
2024/01/22
2024年1月1日16時頃石川県能登地方を震源地とする最大震度7の地震が発生しました。住宅倒壊、火災、津波被害をはじめとした甚大な被害が発生しております。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。今回のような災害時に申告や納付などの期限を延長したり、納税を一定期間猶予したりする制度がありますので説明していきます。
目次
1.申告・納付などの期限の延長
災害等の理由により申告・納付などをその期限までにできないときは、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限を延長することができます。
① 地域指定
災害による被害が広い地域に及ぶ場合に、国税庁長官が延長する地域と期日を定めて告示することで、その告示の期日まで申告・納付などの期限が延長されます。
② 対象者指定
国税庁が運用するシステムが期限間際に使用不能であるなど特定の税目に係る申告・納付などの行為をすることができない方が多数に上ると認められる場合に、国税庁長官が延長する対象者の範囲と期日を定めて告示することで、その告示の期日までの申告・納付などの期限が延長されます。
③ 個別指定
所轄税務署長に申告・納付などの期限の延長を申請し、その承認を受けることにより延長できます。
2.納税の猶予
災害等により財産に相当の損失を受けたときは、所轄税務署長に申請をすることによって次のとおり納税の猶予を受けることができます。
① 損失を受けた日に納期限が到来していない国税
② 既に納期限の到来している国税
3.所得税の軽減(確定申告)
災害により住宅や家財などに損害を受けた場合は、確定申告を行うことで所得税法の「雑損控除」又は「災害減免法」の適用を受けることができます。
地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で「所得税法」による雑損控除の方法、「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。
〇「所得税法」による雑損控除
□ 損失の発生原因 災害、盗難、横領による損失
□ 対象となる資産の範囲 住宅や家財を含む生活に通常必要な資産
□ 控除額の計算 控除額は以下のいずれか多い方の金額となる
⑴ 損失額‐所得金額の10分の1
⑵ 損失額のうちの災害関連支出の金額‐5万円
注:災害関連支出とは、災害により滅失した住宅や家財などの取り壊し、除去等で支出したやむをえない費用を言います。
【参考事項】
その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間に繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。
〇「災害減免法」の適用を受ける
□ 損失の発生原因 災害による損失
□ 対象となる資産の範囲 住宅又は家財の損失額が、その価額の2分の1以上である場合
□ 控除額の計算
【参考事項】
原則として損害を受けた年分の所得金額が、1,000万円以下の方に限ります。減免を受けた年の翌年以降は、減免は受けられません。
4.災害により被害を受けた場合の法人税の特例
災害により損失が生じた場合に、法人税などが還付される場合があります。
災害により生じた損失の額は、その損失が生じた日の属する事業年度の損失の額に算入されます。また、確定申告や中間申告を行うことで、過去に納めた法人税や源泉徴収された所得税が還付される場合があります。
〇 災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付
災害のあった日以後1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度開始の日前1年(青色申告書の場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。
〇 災害損失欠損金がある場合の仮決算の中間申告による所得税額の還付
災害のあった日以後6月以内に終了する中間期間において、災害損失金額がある場合には、仮決算の中間申告において、控除しきれなかった所得税額の還付を受けることができます。
5.災害により被害を受けた場合の消費税の特例
災害が生じたことにより被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は受けることの必要がなくなった場合には、承認申請書を税務署に提出し、承認を受けることにより、当該災害等の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること、又はやめることができます。この特例を受けるためには、承認申請書と併せて「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
6.まとめ
私もこのブログを書くことで、災害時に受けることのできる申告期限の延長や、納税猶予が各税金について用意されていることを知ることができました。災害の被害にあわないことが望ましいですが、日本は地震や台風などの災害リスクが多くあります。万が一に備えて今回のような内容をあらかじめ知っておくこともよいかと思います。
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