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外貨建資産と法人税
~法人の外貨預金はどう処理する?~

外貨建資産と法人税~法人の外貨預金はどう処理する?~

2024/02/05

外国企業との取引がある場合や海外に支店があるなどの理由で、外貨預金を所有している法人は多いと思います。ここでは、法人が外貨預金口座を保有している場合、どのような処理が必要なのか解説します。

1.概要

1-1 外貨預金とは

外貨預金とは、外国通貨建てで預け入れる預金のことをいい、様々な通貨の種類があります。金利は通貨によって異なりますが、円預金と比べて好金利で運用できる可能性が高いです。ただし、為替相場の変動によって為替差損が発生し、円ベースで元本割れとなる可能性もあるので注意が必要です。

1-2 取引の流れ

① 外貨預金口座の作成

まず、外貨預金の口座を作り、現金を入金します。日本の企業会計は円単位を前提とするため、預け入れた日本円で帳簿付けします。

② 外貨での取引

商品の販売や購入、サービスの提供など、外貨で行った取引はすべて帳簿付けする必要があり、日本円に換算して帳簿付けします。

③ 決算時処理

決算時に残っている外貨預金や売掛金、買掛金、借入金などの外貨建資産や負債は、決算時の為替レートで円換算します。円換算時に益が出れば為替差益で、損が出れば為替差損で処理します。また、為替差損益勘定を使って処理する場合もあります。為替差益や為替差損は損益に影響を与えるので、差益を基に計算する税金にも影響を与えます。

2.外貨建取引と外貨建資産等

外貨を使った場合に帳簿付けが必要なのが、外貨建取引と外貨建資産等です。この2つは経理処理が異なります。そこで、まずは外貨建取引と外貨建資産等がどのようなものか説明します。

 

① 外貨建取引

外貨建取引とは、外国通貨を使用する取引です。外貨を使った資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付及び借入、その他の取引のことをいいます。外貨建取引は、原則「取引日のレート」を使って処理します。

② 外貨建資産等

外貨建資産とは、決算時に所有している資産や負債のことをいいます。外国通貨、外貨預金、外貨建債権債務、外貨建有価証券などが外貨建資産等に該当します。外貨建資産等は、原則決算時に「期末時のレート」で円換算します。ただし、決算日から1年を超えて満期がくるような長期の外貨建資産等は、期末時のレートで円換算せずに取引日のレートで円換算したままにしておきます。

3.外貨建取引の処理

3-1 外貨建ての売上がある場合の処理方法

実際に外貨預金を所有している場合の処理方法を見ていきます。まずは、外貨建取引で売上がある場合です。外貨建取引は、原則「取引日のレート」を使って処理します。

 

① 為替差益が出る場合

例)1月10日に商品を1,000ドルで売り上げ、2月10日に代金が外貨預金に振り込まれた。

 (為替レートは 1月10日:1ドル=100円、2月10日:1ドル=102円)

■ 1月10日

取引日のレートを使って処理するため、円換算額は1ドル = 100円 × 1,000ドル = 100,000円です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額   摘要  
売掛金 100,000円 売上高 100,000円 商品売上

 

■ 2月10日

外貨預金に振り込まれた代金は、2月10日のレートで円換算します。

  1ドル = 102円 × 1,000ドル = 102,000円

  100,000円の売上に対し、102,000円が振り込まれたので、差額の2,000円が為替差益です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 102,000円 売掛金 100,000円 商品代金入金
    為替差益 2,000円 為替差益

 

 

② 為替差損が出る場合

上記の例で、2月10日のレートが1ドル=95円だった場合を見てみましょう。

■ 2月10日

外貨預金に振り込まれた代金は、2月10日のレートで円換算します。

  1ドル = 95円 × 1,000ドル = 95,000円

  100,000円の売上に対し、95,000円が振り込まれたので、差額の5,000円が為替差損です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額  摘要 
普通預金 95,000円 売掛金 100,000円 商品代金入金
為替差損 5,000円     為替差損

 

 

③ 前受金がある場合

前受金がある場合、取引日のレートで円換算し、それで確定です。そのため、商品を実際に販売した日のレートで円換算することはありません。

例)1月10日に取引先から前受金1,000ドルを受け取り外貨預金に入金した。2月10日に取引先に商品を引き渡した。

(為替レートは 1月10日:1ドル=100円、2月10日:1ドル=102円)

■ 1月10日

取引日のレートを使って処理するので、円換算額は1ドル = 100円 × 1,000ドル = 100,000円です。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額  摘要 
普通預金 100,000円 前受金 100,000円 前受金

 

■ 2月10日

代金は1月10日のレートで確定なので、前受金をそのまま売上に振り替えます。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額

 摘要 

前受金 100,000円 売上高 100,000円 商品売上

 

4.おわりに

外貨預金を使った取引は円換算すると為替差益や為替差損が発生します。実務では、前払金・前受金がある場合や為替予約をしている場合など、複雑なケースもあります。為替差損益は法人税の対象となり正しい処理が必要になりますので、お困りのことがありましたら掛川総合会計事務所にお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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