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法人税における資産の
評価損の損金算入について

法人税における資産の評価損の損金算入について

2024/02/19

法人が所有している土地や有価証券等の資産について、原則として評価損益の計上は認められていません。しかし、一定の事由が生じた場合は評価損益の計上をすることができます。今回は資産ごとに要件をまとめてみました。

1 原則的取扱い

 法人が所有している資産について、時価の値下がりなどを理由に評価損として損金に算入することは認められていません。これは資産が値下がり等したとしても、その資産を売却等しなければその損失は実現しないという考え方によるためです。

 仮に会計上で評価損を計上したとしても、法人税法上では損金不算入となり、その帳簿の減額はなかったものとみなされてしまいます。

 一方で例外的な取扱いとして資産の評価損の計上が認められているケースもあります。

2 例外的取扱い

(1)棚卸資産の評価損

  棚卸資産について、以下の一定の事由が生じた場合には、評価損の損金算入が認められています。

   ①災害により著しく損傷したことにより棚卸資産の時価がその帳簿価額を下回ることとなった場合

   ②著しく陳腐化したことにより棚卸資産の時価がその帳簿価額を下回ることとなった場合

 

「著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価値が今後回復しないと認められる状態にあることをいいます。具体的には、

 

(ⅰ) 季節商品の売れ残りで、今後通常の価額での販売ができないことが既往の実績から明らかな場合

(ⅱ) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、形式、性能、品質等が著しく異なる新製品の販売により、今後通常の方法では販売することができなくなった場合

 また、破損や型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売できなくなった場合にも評価損の損金算入が認められています。

 なお、棚卸資産の時価が、単に物価変動や過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、評価損の損金算入が認められないため注意が必要です。

2)固定資産の評価損

固定資産は減価償却を通じて毎期費用化していきますが、以下の一定の事由が生じた場合には、評価損の損金算入が認められています。

 

➀ 災害により著しく損傷したことにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合

② その固定資産が1年以上にわたり有休状態にあることにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合

③ その固定資産が本来の用途に使用することができないため、他の用途に使用されたことにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合

④ その固定資産の所在する場所の状況が著しく変化したことにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合

 

 なお、当該固定資産の価額の低下が以下のような事実に基づく場合には、評価損の損金算入は認められません。

 ①過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗している場合

 ②当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じている場合

 ③当該固定資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高い場合

 ④機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化している場合

 

(3)有価証券の評価損

有価証券についても、一定の事由が生じた場合には、評価損の損金算入が認められています。

 

      ① 取引所売買有価証券等(一定の株式を除く)の価額が著しく低下した場合

      ② ➀以外の有価証券について、その発行法人の資産状態が著しく悪化したため、

          その価額が著しく低下したこと

      ③ 会社更生法等、民事再生法等の規定により評価換えが必要になった場合

 

「価額の著しい低下」とは、有価証券の期末時価が帳簿価額のおおむね50%以上

下回ることとなった場合で、近い将来価額の回復の見込みがない場合をいいます。

また、「資産状態が著しく悪化」とは、会社更生法や民事再生法の整理手続き開始の決定があった場合のほか、発行法人の1株または1口当たりの純資産価額が、取得時の純資産価額と比べて50%以上下回ることとなった場合をいいます。

 

 なお、有価証券のうち売買目的有価証券については洗い替え方式の条件に時価法による評価損益の計上が認められています。

3 おわりに

上記の要件を満たした場合には、その帳簿価額とその事業年度終了の時における資産の価額に達するまでの金額を評価損として損金算入することができます。ただし、このテーマにおける一番の問題は時価をどのように算定するのかという点になります。時価算出は煩雑で適正な処理が難しいため、根拠となる資料を揃えた上で慎重に計上するようにしましょう。

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