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同族会社とそれを営む経営者間の取引について(その①)

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同族会社とそれを営む
経営者間の取引について(その①)

同族会社とそれを営む経営者間の取引について(その①)

2025/06/23

 現状日本の多くの法人が同族会社に該当し、その割合は約96%となっています。税務においては経営者(その親族を含む。以下同じ。)と同族会社はその納税者と実質一体で、利益調整や税負担調整が思うがままにできると考えられており、その防御策としていくつかの特例規定が設けられているため注意が必要です。同族会社と経営者の取引としては、個人が同族会社から利益供与を受ける場合と個人が同族会社に利益供与をする場合があります。前者は主に源泉所得税の範疇で、後者は申告所得税の範疇といえます。今回は同族会社と経営者の取引に係る申告所得税の場面について取り上げていきます。

目次

    同族会社と経営者との取引について「無利息貸付け」

     個人が無利息貸付けを行った場合、収入すべき金額が生じないため原則として利息相当額を認識して申告する必要はありません(例外:同族会社の行為計算否認規定が適用される場合)。一方同族会社においては、無利息借入による受贈益と支払利息が相殺されるため所得金額に変動がないこととなります。

     所得税の場合、貸付利息の計上時期は原則としてその年の末日とされています。貸付利息を毎年計上しているものの、同族会社において経営が悪化しており支払をすることができずに未払利息として貸借対照表上に計上されているケースがあるかと思います。このような場合においては、課税関係を生じなくするためには金銭消費貸借契約の利率を無利息に変更して今後の利息収入を発生させないようにすることが必要と思います。

     経営者から同族会社への貸付は、その貸付先が限られることから貸付金額の多寡に限らず事業ではなく業務とされます。よって利息収入は雑所得となり、貸付金元本は雑所得の起因となる資産になります。この場合において、貸倒の判断は基本通達(所基通51-11~13)に基づき行います。また、経営者から同族会社に対する貸付金の場合、所得税基本通達51-11⑷「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸付金の弁済を受けることができないと認められる場合」の適用が考えられます。通達によると貸倒損失を必要経費に算入するためには貸付けをしている同族会社に対して債務免除額を書面により通知することが必要です。この取り扱いは債務超過が継続しただけでは適用することができず、弁済を受けることができないといえる事実が必要です。事業が衰微しており再建のめどが立たず、将来的にも未収債権を回収することが不可能であるといえる状況が必要となります。

     雑所得に係る未収利息の貸倒れについては、その収入を計上した各年分につき、その未収利息がなかったものとして所得計算を行うことになります。そのため、その未収利息を申告した各年分について更正の請求を行います(所法64①、所法152)。更正の請求期限については、該当する年分の法定申告期限から5年と貸倒れの事実が生じた日の翌日から2か月のいずれか遅い日までとなります。

     雑所得の基因となる貸付金元本の貸倒れは、その貸倒れの生じた日の属する年分の雑所得を限度として必要経費となります(所法51④)。公的年金に係る雑所得等があれば、雑所得内通算ができますが、通算しきれない部分の損失は必要経費とはなりません。

    同族会社と経営者との取引について「土地等貸付け」

     建物所有を目的としての土地の賃貸借においては、借地人は借地権者となります。借地権の設定に際し相場に見合う権利金の授受がされないと借地権の贈与とされ課税関係が生じてきます。個人間の場合は使用貸借で土地を利用させればこの借地権課税の問題は生じませんが、土地の所有者の相続時にその土地は自用地評価となります。

     当事者として法人が関与する場合は、土地の無償返還制度が利用できます。土地賃貸借契約書に将来的に土地を無償返還する旨を定め、当事者間の連名で土地の無償返還に関する届出書を税務署長に提出することで、借地権の認定課税を受けることなく法人に土地を賃貸できます。

     また、経営者が所有する土地を同族会社に賃貸し、その同族会社が土地を転貸する場合があります。同族会社の転貸料と経営者の賃貸料の差額の実質は、同族会社における土地の管理料と考えられます。そのため、その差額が通常の管理料相場を超えるような場合には、同族会社の行為計算否認規定により一定の更正処分がされる場合があるので注意が必要です。

    まとめ

     今回は同族会社と経営者との取引についての注意点を取り上げました。後日、また異なるケースにおける同族会社と経営者との取引についての注意点を解説したいと思います。同族会社は経営者や特定の株主によって支配されやすく、経営の透明性等が課題になりやすいです。税務においても親族と同族会社はその納税者と実質一体で、利益調整や税負担調整が思うがままにできると考えられており、その防御策としていくつかの特例規定が設けられているため注意が必要です。

    今回の取り上げた事項に限らず、会計・税務でお困り事がございましたら(税)掛川総合会計事務所までご連絡頂ければ幸いです。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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