非課税資産の輸出取引等について
2025/08/11
消費税は、国内における資産の譲渡等および輸入取引に対して課される税金ですが、その課税範囲や免除規定は複雑多岐に渡ります。特に、国際取引においては消費地課税の原則に基づき、輸出取引が免税とされることは広く知られています。そのうち、非居住者からの利息の受け取りや国外支店で使用するための資産の移送をしたときに適用がある、消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」に定められる非課税資産の輸出等について解説させていただきます。
目次
消費税の基本原則と非課税・免税の区分
消費税の課税対象は、原則として国内取引であり、その課税標準は課税資産の譲渡等の対価の額または課税貨物の引取価額とされています。この原則に対し、以下のような例外が設けられています。
非課税: 消費税の性格から課税対象として適当でないもの、または社会政策的配慮から課税しないこととされている取引です。例えば、土地の譲渡・貸付け、有価証券の譲渡、預貯金の利子、社会保険医療などが該当します。非課税取引には仕入れに係る消費税額の控除は適用されません。
輸出免税: 消費税の課税対象となる取引であるものの、政策的理由(主に消費地課税の原則)から消費税が免除される取引です。輸出取引、国際輸送、国際郵便物などがこれに該当します。免税取引は課税売上に含まれるため、当該取引に対応する仕入れに係る消費税額は控除の対象となり、結果として消費税の還付が発生しうる点が非課税取引との決定的な相違点です。
非課税資産の輸出販売を非課税取引として控除対象仕入税額の計算を行うと非課税売上にのみ対応する課税仕入れは、原則として、仕入税額控除ができません。その仕入税額控除できない分が価格に転嫁されてしまうおそれがあるため、消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」規定により、非課税資産の輸出は輸出免税取引とみなして、免税売上げとし、仕入税額控除ができるよう納付税額の計算を行います。
消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」
⑴ 内容
消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」は、消費税法第6条に規定する非課税取引のうち、国外の者に対する特定の資産の譲渡または役務の提供について、消費税法第7条第1項第1号から第5号までに掲げる取引(輸出取引等)と同様に、課税売上割合の計算上、課税売上高に算入されることを定めています。これにより、当該非課税資産の輸出等に対応する課税仕入れ等に係る消費税額の全額控除または一部控除が可能となります。
具体的には、以下の非課税資産の譲渡等が国外に対して行われた場合に適用されます。
・本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
・非課税とされる外国貨物の譲渡又は貸付け
・非居住者に対する非課税とされる役務の提供で、国内において直接便益を享受するもの以外のもの
・利子を対価とする金銭の貸付けでその債務者が非居住者であるもの
ただし、以下の輸出ついては非課税資産の輸出取引等の取り扱いはありません。
・有価証券
・支払手段
・金銭債権
また、事業者が国外における資産の譲渡等又は自己使用のために資産を輸出した場合においても同様に非課税資産の輸出取引等の取り扱いを受けることとなります。
⑵ 課税売上割合への影響
消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」が最も実務的に影響を及ぼすのは、課税売上割合の計算です。 課税売上割合は、課税資産の譲渡等の対価の額の合計額を資産の譲渡等の対価の額の合計額で除して算出されます。個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合は、共通して要する課税仕入れ等に係る消費税額の控除は、この課税売上割合に応じて行われるため、課税売上割合が低いと控除額が少なくなり、事業者の税負担が増加します。
本条の適用により、通常は非課税売上となる上記取引が課税資産の譲渡等の対価の額の合計額算入されるため、課税売上割合が上昇し、結果として仕入税額控除額が増加する(または全額控除が可能となる)メリットがあります。
まとめ
今回取り上げた消費税法第31条「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」は、特定の非課税資産の輸出等において、輸出取引と同様のメリット(仕入税額控除)を享受できる重要な規定です。非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例は、特殊な状況において適用される法律であり、関係のある事業者は少ないかもしれません。ただし輸出取引が多いケースや、国外に支店を有する事業者については少なからずこの取り扱いが生じてくるかと思います。
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