税理士法人掛川総合会計事務所

大学生の親の所得控除 ―特定扶養親族控除と特定親族特別控除―

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大学生の親の所得控除
―特定扶養親族控除と特定親族特別控除―

大学生の親の所得控除 ―特定扶養親族控除と特定親族特別控除―

2025/12/01

 年末調整の準備を始める時期になりました。今年の年末調整、確定申告は税制改正の影響もあり、混乱する可能性があるということで、全国の会計事務所や企業から懸念の声が上がっています。

目次

    令和7年新設「特定親族特別控除」

    令和7年は所得税の控除に大きな改正があり、なかでも混乱の可能性が指摘されているのは、今年新たに設定された「特定親族特別控除[1]」です。従来からの、「特定扶養親族控除[2]」と、今回新設された「特定親族特別控除」は、大学生年代の子どもを持つ親が活用できる所得控除ですが、こどもの所得によって控除額が決まるため、子どもの所得を正確に把握できないと適用を諦めなくてはならない場合もあり得ます。「特定扶養親族控除」と「特定親族特別控除」は控除額が最大63万円と大きな控除になるため諦めてしまうのはもったいないです。適用ができる納税者は有効に活用したいものです。

     

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    [1] 特定親族特別控除は、大学生に限らず19歳以上23歳未満の子どもがある場合で、子どもの所得が給与所得のみの場合は、子どもの給与収入金額が123万円超188万円以下の場合に適用になります。

    [2] 特定扶養親族控除は、大学生に限らず19歳以上23歳未満の子どもがある場合で、子供の所得が給与所得のみの場合は、子どもの給与収入金額が123万円以下の場合に適用になります。

    令和7年改正で最大63万円控除も可能に

     特定扶養親族控除と特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満(以下「大学生年代」といいます)の子どもを持つ親が、子どもの所得に応じて所定の額の所得控除を受けられる制度です。子どもの年収が給与収入のみの場合(以下同じ)は子どもの年収が150万円以下なら、親の控除額は最大額の63万円です。子どもの年収が150万円を超えても、188万円以下なら控除額は段階的に減りますが、控除の対象になります。令和6年までは大学生年代の年収が103万円を超えると特定親族控除の対象外となりましたが、令和7年からは、188万円までは特定親族特別控除の対象になるため注意が必要です。令和6年で控除の対象外の子どもも令和7年は対象になる可能性があります。

    大学生のアルバイト収入に要注意

    特定親族特別控除の適用には、年末調整で「特定親族特別控除申告書」の提出によって、子どもの合計所得金額の見積額や控除額を申告する必要があります。子どもの所得金額によって適用される控除額が変わるため、大学生の子どもがアルバイトを行っている場合は、子どもの正確な所得を知る必要があります。特に、年末に繁忙期を迎える飲食店などでアルバイトをしている学生の子どもがいる場合に、子どもの所得の見積もりは難しく、誤った申告がされる可能性があります。大学生年代の子どもがいる親は、早めに子どもの年収について、子どもとよく連絡を取って、1年分の給与明細を合計しておくなど、準備をしておきましょう。

    年末調整の正確な申告が鍵

     大学生年代の子どもの所得を少なく申告して過大な控除を受けた場合は。後日税務署から「扶養控除等の見直し」といった内容の行政指導の書面が勤め先の会社に届きます。一般的には、会社から指摘された社員は、子どもの正しい所得金額などを会社に伝えて、会社は所得税の再計算をし、不足分を是正対象の従業員から徴収することになります。後日税金の不足を指摘されるのは気分のよいものでない ばかりか、会社には年末調整の再計算と徴収納税という事務負担が生じます。最初から正しい金額で申告することに越したことはありません。

     

     税務署は「扶養控除等の見直し」の行政指導の際に、把握している子の所得を会社に通知することはありません。それはたとえ親子間であっても子どもの所得に関する情報は個人情報であるため親の勤務先に教えることができないからです。昨年までは大学生年代の子には、特定親族特別控除のような段階的に控除額が変わる制度はありませんでした。このため控除の対象ではないのに間違えて控除の申告をして、税務署から指摘されたとしても特定扶養親族控除の63万円の適用をはずすだけで年末調整の再計算ができました。しかし今後は税務署の行政指導だけでは控除額はわからず、いずれにしても親が子から正確な収入を聞き出さないと再調整もできません。どうしてもわからない場合は、63万円の控除の全額を諦めざるを得ないケースも生じるでしょう。

    子どもの年収で変わる特定親族特別控除額

     子どもの収入が給与所得のみの場合は、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が子どもの合計所得金額になります。給与所得控除は、給与収入が190万円までは一律65万円です。子どもの合計所得金額ごとの特定親族特別控除は以下の通りです。

                  特定親族特別控除額(国税庁HPより)

     

     年末調整が終わった後に、子どものアルバイト先から発行された源泉徴収票によって、子どもの正しい年収が把握できた場合で、年末調整時の申告額と異なっていた場合は、年末調整の再調整をすることもできます。1月末までなら再調整が可能な会社もあるので、会社に問い合わせてみてください。

     また、会社の再調整に頼らず、自ら確定申告によって年末調整の間違いを清算することもできますし、年内に子どもの所得が把握できない場合には、あえて年末調整によらず、確定申告によって控除を申告することもできます。

    おわりに

     ミスを防ぐために、日ごろから子どもとコミュニケーションを取って適正な金額を把握するようにしたいものです。昨今は物価高の影響などでアルバイトを増やす学生も増えているかもしれません。

     税務署から扶養控除等の是正がとどいた場合、学業を頑張っていると思ったらバイトに明け暮れているのか?と思うか、仕送りが少なくてアルバイトを頑張らないといけないなんて申し訳ないと思うか様々でしょう。似た制度に、従来からある配偶者特別控除があります。配偶者の所得でさえはっきりと把握できず是正になるケースがあるにもかかわらず、一緒に住んでいない大学生の子どもの所得を正確に把握することのハードルは更に高くなると思われます。毎年、親族とは意思疎通を密にし、早めの準備をし、適正な税務申告を心がけましょう。

     今回は大学生のアルバイトを一例にしましたが、特定扶養親族控除及び特定親族特別控除は要件に該当する19歳以上23歳未満の子供がいる場合に適用されます。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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