印紙税とは何か?制度の概要と実務上の留意点
2026/02/16
印紙税は、日常の経済取引などに伴い作成される契約書や領収書などの「課税文書」に対して課される国税です。この税金は、「印紙税法」という法律に基づき、収入印紙を文書に貼付して消印することで納付する「自主納税方式」を採用しています。歴史的には、商工業者に均一の税負担を課す目的で導入されました。しかしながら、近年における経済取引の複雑化・広域化などにより、文書の様式や形式、作成形態が多種多様となり、課否判断に苦慮する文書が多くなっています。印紙税は、税理士事務所にとっても実務上迷いやすく、判断に悩む分野であるため、注意が必要です。今回は、印紙税の概要について解説します。
目次
印紙税の意義と課税根拠
印紙税とは、取引等に伴って契約書や領収書などの一定の文書を作成した場合に、印紙税法に基づき、その文書に課税される税金のことです。これは、経済取引に伴い作成される文書の背後に経済的利益があると推定されること、及び文書を作成することによって取引事実が明確化し、法律関係が安定化するという点に着目し、文書の作成行為の背後に税を負担する能力、いわゆる担税力を見出して課税を行おうとするものです。
課税対象となる文書は、印紙税法に定める特定の文書です。主な文書は、以下のとおりです。
1.契約書
⑴ 不動産売買契約書
⑵ 請負契約書 など
2.金銭関係書類
⑴ 領収書
⑵ 手形 など
3.その他
⑴ 株券
⑵ 預貯金証書 など
具体的には、印紙税法別表第一「課税物件表」において、不動産の譲渡に関する契約書など特定の文書を20種類に分類し、列挙された文書のみに課税する、いわゆる「課税物件限定列挙主義」を採っています。そのため、それ以外の文書については、どのような文書を作成しても課税されることはありません。
また、印紙税の税率は、定額税率(200円、400円、4,000円など)を基本としつつ、より担税力があると認められる特定の文書については、取引金額に応じた階級定額税率を適用するとともに、特定の文書には免税点を設け、少額な取引に係る文書には課税しない仕組みとなっています。
税額について
課税文書の判定要件
印紙税が課税される文書とは、以下の3点すべてに該当する文書をいいます。
⑴ 印紙税法別表第一に掲げられている第1号文書から第20号文書までのいずれかの課税事項が記載されている文書であること
⑵ 当事者間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
⑶ 印紙税法第5条(非課税文書)などの規定により、印紙税を課税しないこととされている非課税文書※に該当しないこと
※ 非課税文書とは、以下の文書をいいます。
⑴ 印紙税法別表第一の非課税物件の欄に定める文書(受取金額5万円未満の金銭の受取書など)
⑵ 国、地方公共団体又は印紙税法別表第二に定める者が作成した文書
⑶ 印紙税法別表第三の上欄に定める文書で、同表の下欄に定める者が作成した文書(日本銀行が作成した国庫金の取扱いに関する文書など)
⑷ 租税特別措置法により非課税とされる文書(自然災害等により被害を受けた方が作成する契約書など)
⑸ 印紙税法以外の法律によって非課税とされる文書
課税文書に該当するかどうかは、文書全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容に基づいても判断されます。また、文書の内容判断に当たっては、単にその名称や呼称、記載されている文言のみにより形式的に判断するのではなく、文書に記載されている文言や符号等についての当事者間の了解や慣習等を加味し、総合的に判断する必要があります。
例えば、文書に取引金額そのものの記載はないものの、文書に記載されている単価、数量、記号等により、当事者間において取引金額が計算できる場合には、それを記載金額とします。また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示されており、その表示が売掛金を領収したことを意味するとの当事者間の了解がある場合には、その文書は売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになります。
まとめ
今回取り上げた印紙税については、税理士法第2条において、税理士は「他人の求めに応じ、租税(印紙税等を除く)に関し、一定の事務(税務代理等)を行うことを業とする」と規定されており、法律上、印紙税が税理士の業務範囲外とされている点も影響してか、税理士事務所にとっても実務上迷いやすく、判断に悩む分野となっています。そのため、十分な注意が必要です。
今回取り上げた事項に限らず、会計・税務に関してお困りのことがございましたら、(税)掛川総合会計事務所までご連絡いただければ幸いです。
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