消費税の税込経理と税抜経理の違い 仕訳・利益への影響を解説
2026/03/18
消費税の課税事業者は、「税込経理」と「税抜経理」のどちらかの方法で会計処理を行うことができます。どちらを選んでも納める消費税額は同じですが、決算書の見え方や所得金額の計算には違いが生じます。
本記事では、税込経理と税抜経理の違いについて、具体例を用いて分かりやすく解説します。
目次
税込経理と税抜経理の比較
税込経理と税抜経理の主な違いは、消費税を売上や仕入等に含めて処理するか、区分して処理するかという点です。主な違いを整理すると次のとおりです。
| 区分 | 税込経理 | 税抜経理 |
|
➀売上に係る消費税 |
売上金額に含める | 仮受消費税として処理 |
| ②仕入等に係る消費税 | 仕入、資産、経費に含める | 仮払消費税として処理 |
| ③納付する消費税 | 租税公課として費用処理 | 仮受消費税と仮払消費税を清算し、未払消費税を計上 |
| ④還付を受ける場合 |
雑収入として処理 |
仮受消費税と仮払消費税を清算し、未収入金として処理 |
具体例】
・7,700円(内消費税700円)で仕入れた商品を11,000円(内消費税1,000円)で販売。
・原則課税を適用し、取引はこの一件のみとします。
<税込経理>
⑴仕入時
(借方)仕入 7,700円 /(貸方)現金 7,700円
⑵売上時
(借方)現金 11,000円 /(貸方)売上 11,000円
⑶決算時
(借方)租税公課 300円 /(貸方)未払消費税 300円
<税抜経理>
⑴仕入時
(借方)仕入 7,000円 /(貸方)現金 7,700円
仮払消費税 700円
⑵売上時
(借方)現金 11,000円 / (貸方)売上 10,000円
仮受消費税 1,000円
⑶決算時
(借方)仮受消費税 1,000円 /(貸方)仮払消費税 700円
未払消費税 300円
この場合の損益は次のようになります。
|
項目 |
税込経理 |
税抜経理 |
|
売上 |
11,000円 |
10,000円 |
| 売上原価(仕入) | 7,700円 |
7,000円 |
| 売上総利益 |
3,300円 |
3,000円 |
| 販売管理費(租税公課) | 300円 | 0円 |
| 営業利益 | 3,000円 | 3,000円 |
最終的な営業利益はどちらも同じとなりますが、税込経理では売上や仕入に消費税が含まれるため、売上や売上総利益が大きく表示されるという特徴があります
税込経理と税抜経理で差異が生じる場合
税込経理と税抜経理で差異が生じる場合
⑴減価償却資産と減価償却費
税込経理では消費税込みの取得価額で減価償却費を計算し、税抜経理では税抜価格で計算します。そのため、税込経理の方が取得価額が大きくなり、減価償却費も大きくなります。結果として、税込経理の方が所得金額は小さくなります。
⑵少額減価償却資産等の金額判定
30万円未満の少額減価償却資産の判定は
・税込経理:税込金額
・税抜経理:税抜金額
で判定します。
例えば消費税率10%の場合
・税込経理:約272,727円(税抜)が限度
・税抜経理:299,999円(税抜)が限度
となるため、税抜経理の方が適用できる範囲が広くなるというメリットがあります。
⑶棚卸資産の金額
棚卸資産も同様に
・税込経理:税込金額
・税抜経理:税抜金額
で計算します。
棚卸表を作成する際には、
・自社が税込経理か税抜経理か
・棚卸表が税込か税抜か
を一致させる必要があるため、決算時には改めて確認することが重要です。
⑷交際費等
交際費等についても、税込経理の場合は消費税額分だけ支出額が増えるため、税抜経理の方が有利となる場合があります。
中小法人については、交際費等は年間800万円まで損金算入が認められる特例がありますが、税込経理の場合は消費税分も交際費等に含まれるため、限度額である800万円に早く到達してしまう可能性があります。
一方、税抜経理では本体価格のみで判定するため、損金算入できる交際費の枠を有効に活用できるというメリットがあります。
ただし、税抜経理の場合で控除対象外消費税額等が生じた場合には、その金額のうち交際費等に係るものは支出交際費に含める必要があります。
税込経理の場合の損金算入時期
税込経理では、納付する消費税を「租税公課」として費用処理します。
この場合、消費税をいつ損金に算入するかが問題になります。
原則として、消費税は申告をした事業年度の損金となります。消費税は申告納税方式であり、申告によって納付額が確定するためです。したがって、申告書を税務署へ提出した日の属する事業年度の損金となります。
ただし、例外として、決算時に申告予定の消費税額を未払計上した場合には、その事業年度の損金とすることができます。実務では、決算時に未払計上を行うことで法人税の所得金額に反映させることができるため、この処理が採用されるケースが多く見られます。
<原則>
(決算時) 処理なし
(納付時) 租税公課/現金
<例外>
(決算時) 租税公課/未払消費税
(納付時) 未払消費税/現金
なお、消費税が還付される場合も同様の考え方となり、
・原則:申告事業年度の益金
・例外:未収計上した年度の益金
となります。
終わりに
ここまで、税込経理と税抜経理の違いについて解説しました。
消費税の納税義務が免除されている免税事業者は、税込経理のみとなり、税抜経理を採用することはできません。
また、建設業を営む事業者の場合、公共工事の入札申請書類では税抜金額での記載が求められることが多いため、税抜経理を採用する方が適しているケースもあります。
さらに、税抜経理では、消費税を取引価格と区分して処理するため、本体価格ベースでの損益を把握しやすく、納税額の予測がしやすいというメリットもあります。
どちらの処理方法が自社に適しているかは、事業内容や管理方法によって異なります。
ご不明な点がありましたら、お気軽に掛川総合会計事務所までご相談ください。
【参考】
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