【令和8年度税制改正のポイント】インボイス制度の経過措置が見直しへ
2026/03/23
令和8年度税制改正大綱において、インボイス制度に関する重要な見直しが示されました。今回の改正は、制度導入後の実務負担や中小事業者への影響を踏まえ、「激変緩和」と「適正課税の確保」のバランスを取る内容となっています。
本記事では、特に影響の大きい「経過措置の見直し」と「小規模事業者向け特例」について整理します。
目次
2割特例の終了と「3割特例」の創設
まず大きな変更点が、いわゆる「2割特例」の見直しです。
インボイス制度開始に伴い、免税事業者から課税事業者になった小規模事業者については、売上に係る消費税額の2割を納税額とする制度(2割特例)が設けられていました。しかし、この制度は当初の予定通り令和8年9月末で終了します。
その一方で、急激な税負担増を避けるため、個人事業者に限定して「3割特例」が新設されます。 これは、売上税額の3割を納税額とする仕組みで、令和9年分および令和10年分の2年間に限り適用されます。
ただし、この特例は法人には適用されません。したがって法人については、原則課税または簡易課税への移行判断がより重要になります。
仕入税額控除の経過措置は「延長+段階的縮小」
次に、免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直しです。
本来、インボイス制度では適格請求書がなければ仕入税額控除は認められませんが、制度移行を円滑にするため、一定期間は控除を認める経過措置が設けられています。
改正前は以下のスケジュールでした。
インボイス制度開始~令和8年9月 :80%控除
令和8年10月~令和11年9月 :50%控除
令和11年10月~ :控除なし
これに対し、今回の改正では期間が2年延長され、かつ控除率の低下が緩やかに変更されました。
改正後のスケジュールは次の通りです。
インボイス制度開始~令和8年9月:80%
令和8年10月~令和10年9月 :70%
令和10年10月~令和12年9月 :50%
令和12年10月~令和13年9月 :30%
令和13年10月~ :控除なし
つまり、完全に控除ができなくなる時期は後ろ倒しされ、令和13年9月まで段階的に縮小される形となります。
適用上限の引下げ(1億円ルール)
もう一つの重要な変更点が、経過措置の適用上限です。
改正により、同一の免税事業者からの仕入れについて、年間1億円を超える部分は経過措置の対象外となります(従来は10億円)。
これは、大企業等による制度の過度な利用や租税回避を防止する目的があります。
実務への影響と対応ポイント
今回の見直しにより、実務上は以下の対応が重要になります。
個人事業者
・2割特例終了後の「3割特例」適用可否の検討
・簡易課税との有利不利比較
法人
・特例がないため、課税方式の再検討が必須
すべての事業者
・免税事業者との取引方針の見直し
まとめ
令和8年度税制改正では、インボイス制度の経過措置が大きく見直されました。
ポイントは以下の3点です。
◇個人事業者向けに「3割特例」を2年間限定で創設
◇仕入税額控除の経過措置は2年延長+段階的縮小
◇適用上限を1億円に引下げ
今後は「いつまで経過措置に依存できるか」ではなく、本則課税を前提とした体制構築が不可避です。早期に自社の消費税戦略を見直すことが、重要な経営判断となるでしょう。
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