町内会やPTAも対象?人格なき社団等の定義と税金をわかりやすく解説
2026/04/07
「法人ではないのに、団体として活動している」そんな組織が身近にあることをご存じでしょうか。たとえば町内会やPTA、サークルなどは、法律上の法人格を持たないまま運営されているケースが多く、これらは一般に「人格なき社団等」と呼ばれます。一見すると任意の集まりに見えますが、実は一定の条件を満たすことで税務上は“ひとつの団体”として扱われ、思わぬ課税関係が生じることもあります。本記事では、人格なき社団等の定義や判断基準、町内会やPTAが該当するのかといった実務上の疑問、さらに押さえておきたい税金の基本までを、初めての方にもわかりやすく整理して解説します。
目次
人格のない社団等とは
法人税法第2条1項8号には人格のない社団等について以下のように規定されています。
|
人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 法人税法第2条1項8号 |
ここでいう、法人ではない社団又は財団については、法人税法基本通達1-1-1から1-1-3に以下のように書かれています。
法人でない社団の範囲
|
1-1-1 法第2条第8号《人格のない社団等の意義》に規定する「法人でない社団」とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。(昭56年直法2-16「二」、「六」により改正) (1) 民法第667条《組合契約》の規定による組合 (2) 商法第535条《匿名組合契約》の規定による匿名組合 |
法人でない財団の範囲
| 1-1-2 法第2条第8号《人格のない社団等の意義》に規定する「法人でない財団」とは、一定の目的を達成するために出えんされた財産の集合体で特定の個人又は法人の所有に属さないで、一定の組織による統一された意志の下にその出えん者の意図を実現すべく独立して活動を行うもののうち法人格のないものをいう。(昭56年直法2-16「二」、「六」により改正) |
人格のない社団等についての代表者又は管理人の定め
|
1-1-3 法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、当該社団又は財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、当該社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主宰する者が事実上あることをいうものとする。したがって、法人でない社団又は財団で収益事業を行うものには、代表者又は管理人の定めのないものは通常あり得ないことに留意する。(昭56年直法2-16「二」、「六」により改正) |
法人税法基本通達1-1-1から1-1-3
また、人格なき社団等は民法上では、権利能力なき社団、財団といわれ、権利能力なき社団について、以下の判例があります。
|
法人格を有しない社団すなわち権利能力のない社団については、民訴四六条がこれについて規定するほか実定法上何ら明文がないけれども、権利能力のない社団といいうるためには、団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならないのである。 |
昭和39年10月15日 最高裁第一小法廷 判決より一部抜粋
以上のことから、人格なき社団等とは、
①多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体であり、
②団体としての組織をそなえ、
③そこには多数決の原則が行なわれ、
④構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、
⑤その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているもの
といえます。
例えば、町内会、同窓会、PTA、任意団体などがこれに該当します。
法人税について
人格なき社団等が法人税を課されるかどうかは、「収益事業を行っているかどうか」が大きなポイントとなります。
法人税法第2条13号には収益事業について以下のように規定されています。
|
収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。 法人税法第2条13号 |
政令で定める事業とは、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業など政令で定められた34業種に該当する事業をいいます。
つまり、
①政令で定められた34業種に該当する事業を行っている
②事業場を設けている
③継続して行われている
という条件を満たせば収益事業を行っていることになります。会費収入や寄付金など、対価性のない収入については原則として課税対象とはなりません。
法人税法基本通達15-1-4によれば、「事業場を設けている」とは、一定の場所を設けている場合以外にも、必要に応じて随時事業場所を設けている場合も含まれます。
法人税法基本通達15-1-5によれば「継続して行われている」とは、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもの以外にも、土地の造成及び分譲などの通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するものや、縁日における物品販売などの通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるものも含まれます。
法人税法基本通達15-1-4,15-1-5
その他の税金について
法人税以外に、支払わなければならない税金のうち代表的なものとして①消費税、②源泉所得税、③地方税があります。
①消費税
人格なき社団等も事業者である以上、基準期間(通常は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の納税義務が生じます。
②源泉所得税
人格なき社団等が給与や講師への謝礼、原稿料などを支払う場合には、源泉徴収義務が発生することがあります。
③地方税(法人住民税、事業税)
収益事業を行っている場合には、法人住民税や事業税の対象となる可能性があるため、所轄の自治体への確認が必要となります。
まとめ
人格なき社団等とは、法人格を持たないものの、組織や規約、代表者を備え、団体として独立した意思で活動する集まりを指し、町内会やPTAなどが該当します。税務上は一つの主体として扱われ、収益事業を継続的に行う場合には法人税の課税対象となります。また、条件に応じて消費税や源泉所得税、地方税が発生する可能性があるため、活動内容に応じた適切な税務管理が重要です。
----------------------------------------------------------------------
税理士法人掛川総合会計事務所
436-0022
静岡県掛川市上張202
電話番号 : 0537-24-4607
御前崎支店
437-1612
静岡県御前崎市池新田3946-8
電話番号 : 0537-86-9788
掛川市で税務会計を総合的に支援
----------------------------------------------------------------------

