法人の所得に課される税金の種類や目的について
2022/06/27
会社を起業・経営する上で知っておくべき税金があります。今回は法人の所得に対して課される税金に焦点を当てて、法人にかかる税金の種類やその目的などについてそれぞれ紹介していきます。
1.国に納める税金
法人税
法人税とは、法人の事業活動により得られる所得に対して課される税です。法人の所得金額は、益金の額から損金の額を差し引いた金額です。益金とは、商品・製品などの売上収入や、土地・建物の売却収入などがあります。損金とは、売上原価や販売費、災害等による損失など費用や損失に当たるものです。法人税額は、そうして得られた所得金額に法人税率を乗じて算出します。
法人税額 = 所得金額 × 税率
法人税の税率は、普通法人、一般社団法人等または人格のない社団等については23.2%
(資本金1億円以下の上記法人の所得の金額のうち年800万円以下の金額については15%)とされています。
地方法人税
地方法人税とは、平成26年度税制改正で創設された税金で、これまで地方自治体に納めていた地方税の一部を国に納めるよう転換し、国から各地方自治体に地方交付税の財源として配分することによって地方財政の不均衝を緩和する目的で創設されました。
地方法人税額は次の計算式によって求めます。
地方法人税額 = 法人税額 × 税率
地方法人税の税率は令和元年10月1日以後に開始する課税事業年度から 10.3% です。
2.地方に納める税金
法人住民税
住民税という税金を納めるのは個人だけと思っている方がいるかもしれませんが、実は法人も対象となります。法人住民税は、地域社会の費用について、利益を受ける人に負担をさせる目的でその地域に所属する法人に都道府県民税と市町村民税を課税しています。
法人住民税の計算方法
法人住民税は法人税割と均等割で構成されています。それぞれ納税義務者となる法人と納税額が異なります。計算式で表すと、次のようになります。
法人住民税額 = 法人税割 + 均等割
法人住民税額を求めるには、法人税割と均等割の金額を求めなければなりません。
▪ 法人税割
法人税割とは、法人税額を基準にして税率を乗じて計算されます。その税率は地方自治体によって決められています。一定の割合にしている自治体もあれば、資本金や所得に応じて割合を変える自治体もあります。法人税額を基準として課税されるので、その期の決算で赤字となれば法人税割額はゼロとなります。
▪ 均等割
均等割とは、法人の所得が黒字か赤字か関係なく、資本金や従業員数に応じて課税されます。全国展開している大きな法人と地域密着型の法人とでは、法人の規模が違います。そのため、都道府県民税では法人の資本金等の額で、市町村民税では法人の資本金等の額と従業者数で納める税金の額が分けられています。このように法人の規模に応じて区分けしたうえで、同一区分内においては同一の額を法人に課しています。
▪ 両者の違い
法人税割と均等割の違いは、法人税割は国に法人税を納めている法人、つまり黒字の法人だけが納めるのに対して、均等割は赤字の法人も納めなければならないということです。均等割は、法人がどれだけ儲けたかに関係なく、地域社会の一員として支払う会費という性格が強いといえます。
法人事業税
法人事業税は、法人がその事業活動を行うにあたって使用する公共サービスの維持費を法人に一部負担させる目的で課される都道府県の税金です。法人税や法人住民税と違い法人事業税は損金算入することができます。損金算入の時期は申告書を提出した事業年度であり、更正または決定があった事業年度の損金の額に算入されます。
法人事業税は所得金額に税率を乗じて納付額を計算します。この税率は「標準税率」と「超過税率」に分けられます。標準税率は各都道府県一律ですが、超過税率はそれぞれ独自に定められています。
法人事業税は原則として、すべての法人に納税義務がありますが、例外として公共事業に関わる公共団体(地方公共団体、国民金融公庫など)は法人事業税を納めなくてもよいとされています。
特別法人事業税
令和元年10月1日以後に開始する事業年度から、法人事業税の税率が引き下げられたことにより、特別法人事業税が創設されることになりました。特別法人事業税は国税ですが、地方税である法人事業税と併せて納付します。
3.おわりに
今回は、法人の所得に課される税金について紹介させていただきました。法人の所得にかかる税金には国や地方に納める税金から構成されていることがわかりました。しかし、税金の計算や申告、節税対策は、税制を深く理解していく必要があります。掛川総合会計事務所のスタッフが専門的立場から総合的に適格なアドバイスをさせていただきます。是非ご相談ください。
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