減価償却とは?基礎知識をわかりやすく解説
2022/07/04
事業を経営するにあたり、機械装置や器具備品などの固定資産を取得する機会があります。これらの資産は取得価額によって会計処理が異なってくるため注意が必要です。今回は資産として計上される固定資産の減価償却について説明します。
1.減価償却のしくみ
減価償却とは
減価償却とは、固定資産取得のために支払った金額(取得価額)を、その使用期間(耐用年数)を通して費用化していくことをいいます。この手続きによって計算された費用を減価償却費といいます。
事業で使用する建物及び附属設備、機械装置、車両運搬具、工具器具備品などの有形固定資産は、使用又は時の経過に応じて価値が下がっていきます。このような価値が下がる資産を「減価償却資産」といいます。一方で、土地や借地権などは使用又は時の経過に応じて価値が減少するものではないため、減価償却資産には該当しません。書画骨董品についても基本的に該当しませんが、一定の要件を満たすものは減価償却資産に該当するため注意が必要です。
減価償却資産のうち
① 取得価額が10万円未満のもの
② 使用可能期間が1年未満のもの
については、損金経理を要件に取得価額の全額を一括で費用とすることができます。
(注)10万円の金額の判定の際に消費税額を含めるか否かは、企業が消費税について税込経理と税抜経理のどちらを採用しているかによります。
減価償却の目的
減価償却は費用配分を適正に行うことにより、資産の使用によって生み出される収益と資産の減価償却費による費用を期間的に対応させることを目的に行われます。
2.減価償却の計算方法
資産の価値の下がり方は、資産の種類や使用頻度により異なり、見た目だけで価値の減少を客観的に判断することは容易ではありません。そのため、誰が計算しても同じ結果になるように、固定資産の種類によって耐用年数が定められており、計算方法については一般的に「定額法」と「定率法」の2種類の方法により計算されています。
定額法
定額法とは、固定資産の取得価額を耐用年数で除した金額を償却額として、毎期同額の減価償却費を計上する方法です。例えば、取得価額 1,200万円、耐用年数6年の場合、200万円を6年間にわたって均等に費用処理することになります。定額法は計算方法がシンプルで、わかりやすい点がメリットであるといわれています。
定率法
定率法とは、固定資産の取得価額のうち未だ償却していない金額(未償却残高)に一定の償却率を乗じて減価償却費を計算する方法です。耐用年数の初期に多額の減価償却費を計上でき、後半になるにつれて減価償却費が小さくなる点に特徴があります。固定資産は時が経過するにつれて維持管理費が増加する傾向にあるので、初年度に多額の費用処理をすることで費用負担の平準化を図ることができます。
どちらを選択するかは企業の判断になりますが、法人税法では今後取得する建物、建物付属設備、構築物は定額法、車両運搬具、機械装置、工具器具備品は定率法を採用することが原則となっています。定率法を採用する固定資産の計算方法を変更したい場合は、税務署に届出を提出することで変更することができます。
耐用年数
減価償却資産の耐用年数は法律で固定資産ごとに定められています。また同じ固定資産でも構造や使用用途により耐用年数が変わるため注意が必要です。詳しくはこちらをご覧下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
(参照:国税庁「減価償却のあらまし」)
3.減価償却の特例
少額減価償却資産の特例
青色申告である中小企業(大規模法人の子会社を除く資本金1億円以下の法人)のうち常時雇用する従業員が500人以下の企業については、取得価額が30万円未満の減価償却資産について全額を一括で費用とすることができます。ただし、事業年度の上限額は300万円とされているため、年間の取得価額の合計が300万円を超えた部分はこの特例を利用できないので注意が必要です。
一括償却資産の取扱い
10万円以上20万円未満の減価償却資産については、耐用年数によらず事業に使用した年から3年間で均等償却することができます。残存価額を0として償却期間も決まっているため、厳密な個別管理の必要がない上、償却資産税が非課税になるというメリットがあります。
ただし、令和4年度税制改正により、貸付(主な事業として営まれるものを除く)用の減価償却資産については、少額減価償却資産(10万円未満)や上記特例の対象から除かれます。つまり、自社の主な事業用のものではなく、貸付用のものは、取得価額の全額を損金算入することができなくなり、通常の減価償却により損金算入することになります。
4.まとめ
減価償却資産を取得したときは、一般的に次のいずれかの方法の会計処理を選択することになります。
(1)通常の減価償却を行う
(2)少額減価償却資産の特例を適用する(一定の中小企業者等のみ)
(3)一括償却資産の取扱いを適用する
どの会計処理をするかによって、その事業年度に計上できる償却費の金額が変わるため経営状況を踏まえた上一番有利な会計処理を選択する必要があります。
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