該当していませんか?ひとり親控除・寡婦控除・障害者控除
2023/04/03
確定申告や年末調整で所得税を計算する際、自身が寡婦に該当している、扶養親族が障害者である場合等、一定の要件を満たすと所得控除が受けられる場合があります。知らずに適用が漏れている方もいるのではないでしょうか?
1.ひとり親控除
納税者が“ひとり親”であるときは、35万円の所得控除を受けることができます。これをひとり親控除といいます。ここでいう“ひとり親”とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。
⑴ その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。
⑵ 生計を一にする子がいること。この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
⑶ 合計所得金額が500万円以下であること。
2. 寡婦控除
納税者自身が寡婦であるときは、27万円の所得控除を受けることができます。これを寡婦控除といいます。ここでいう寡婦とは原則としてその年の12月31日の現況で、「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。
⑴ 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人。
⑵ 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人。なお、この場合は、扶養親族の要件はありません。
(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいいます。
3. 障害者控除
納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。
なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。障害者控除の対象となるのは、次のいずれかに当てはまる人です。
⑴ 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人。この人は、特別障害者になります。
⑵ 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人。このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者になります。
⑶ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人。このうち障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者になります。
⑷ 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人。このうち障害の程度が1級または2級と記載されている人は、特別障害者になります。
⑸ 精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が⑴、⑵または⑷に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人。このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります。
⑹ 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人。このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者となります。
⑺ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人。この人は、特別障害者となります。
⑻ その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人。この人は、特別障害者となります。
(注)同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者自 身、配偶者、その納税者と生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている人です。
4.特例の適用を受けるための手続き
これらの控除の適用を受けるためには、所得税の確定申告書に必要な情報を記載すること、または年末調整の際、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に必要な情報を記載することで控除の適用を受けることができます。特別な添付書類は必要なく自己申告であり、自身や事業主さんがこの制度を把握してなければ適用が漏れてしまっているかもしれません。該当者は忘れずに申告しましょう。事業主さんも該当しそうな従業員の方がいれば教えてあげると親切だと思います。
5. 税務会計のことで困ったら
所得税は申告納税であり、所得控除も自ら申告しないと適用を受けられないものが多いです。正しい知識をもってお得な控除を受けられるようにしましょう。税務会計で何かお困りごとがございましたら掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
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