65歳超雇用推進助成金について
2023/09/25
現在の日本では、総人口が減少する中で、高齢者人口は3,627万人と過去最多、総人口に占める割合は29.1%(2022年9月15日時点)と高い割合を占めています。
そんな中、厚生労働省より「65歳超雇用推進助成金」という、高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現するため65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等を、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業者に対して助成金を設けています。
今回は3つあるコースのうち、65歳超継続雇用促進コースについて説明していきます。
65歳超継続雇用促進コース
1.概要
65歳以上への定年引上げ等の取り組みを実施した事業主に対して助成するものであり、高年齢者の就労機会の確保および希望者全員が安心して働ける雇用基盤の整備を目的としています。
2.受給要件
⑴ 労働協約または就業規則(以下「就業規則等」という。)により次の(イ)~(ニ)までのいずれかに該当する制度を申請日前日までに実施し、就業規則を労働基準監督署へ届け出た事業主であること。
(イ)旧定年年齢(注1)を上回る65歳以上への定年引上げ
(ロ)定年の定めの廃止
(ハ)旧定年年齢及び継続雇用年齢(注2)を上回る66歳以上の継続雇用制度の導入
(ニ)他社による継続雇用制度の導入(注3)
(注1)就業規則等で定められた定年年齢のうち、平成28年10月19日以降、最も高い年齢を言います。
(注2)就業規則等で定められた定年年齢または、希望者全員を対象とした継続雇用年齢のうち、平成28年10月19日以降、
最も高い年齢を言います。
(注3)申請事業主の雇用するもので定年後または継続雇用制度終了後に他の事業主が引き続いて雇用する制度
(2) 就業規則により定年の引上げ等を実施する場合は専門家(注4)等に就業規則の作成又は相談・指導を委託し経費を支出したこと。または労働協約により定年の引上げ等の制度を締結するためコンサルタント(注5)に相談し経費を支出したこと。
(注4)社会保険労務士、社会保険労務士法人、弁護士、弁護士法人、昭和55年9月1日までに行政書士会に入会している
行政書士に限ります。
(注5)専門家に加え、過去に当該業務の実績があり、業として実施していることが確認できるものに限ります。
(3) 高年齢者雇用推進者の選任および次の (a) から (g) までの高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施している事業主であること。
【高年齢者雇用管理に関する措置】
(a) 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
(b) 作業施設・方法の改善
(c) 健康管理、安全衛生の配慮
(d) 職域の拡大
(e) 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
(f) 賃金体系の見直し
(g) 勤務時間制度の弾力化
3.支給額
「対象被保険者数」および「定年等を引上げる年齢」に応じて、次に定める額を支給します。
定年引上げ又は定年の定めの廃止
(注)旧定年年齢が70歳未満のものに限ること
措置内容の人数 = 対象被保険者数
希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入
(注)旧定年年齢及び継続雇用年齢が70歳未満のものに限ること
措置内容の人数 = 対象被保険者数
他社による継続雇用制度
(注)旧定年年齢及び継続雇用年齢並びに他の事業主による継続雇用年齢が70歳未満のものに限ること
※専門家等へ委託し、制度の導入に要した経費の2分の1の額と本表の支給上限額を比較し、いずれか低いほうの金額を支給
定年引上げと継続雇用制度の導入をあわせて実施した場合でも、支給額はいずれか高い額のみとなります。 |
4.申請方法
助成金の支給を受けようとする事業主は、支給申請書に必要書類を添えて制度の実施日の属する翌月から起算して4か月以内の各月月初から5開庁日(行政機関の休日)までに、事業主の主たる雇用保険適用事業所の所在する都道府県の支部高齢・障害者業務課に申請してください。
※令和4年12月から令和5年3月までに定年引上げ等の制度を実施した場合は令和5年4月以降も申請期間に含まれますが、令和5年4月以降に支部に申請される場合は令和5年度制度が適用されます。
5.まとめ
冒頭でも述べましたが、日本での65歳以上の割合は3割近くあり高齢化社会となっています。内閣府が公表しているデータによっても2025年には75歳以上の後期高齢者人口が2,180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1,497万人に達すると予想されており、国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となるようです。また、少子化社会でもありますので、より65歳以上の労働力が必要となってくるように思います。
既に65歳以上の雇用者がいる企業で、今後のために定年の引上げを検討されているようなところがありましたら、65歳超雇用推進助成金を利用してみてはいかがでしょうか?
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