確定申告における所得税の種類
2024/03/18
所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。給与所得のみの個人であれば年末調整で税額の計算が完了しますが、そのほかの所得があるような個人は3月15日までに確定申告を行う必要があります。今回は所得税の算出のしくみについて説明していきます。
◇10種類の所得
所得は、その性質によって次の10種類に分かれ、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲あるいは所得の計算方法などが定められています。
①利子所得
利子所得とは、預貯金および公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。
②配当所得
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配または投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。
③不動産所得
不動産所得とは次の⑴から⑶までの所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます)を言います。
⑴土地や建物などの不動産の貸付
⑵借地権などの不動産の上に存する権利の設定および貸付け
⑶船舶や航空機の貸付
計算式:総数収入金額-必要経費=不動産所得の金額
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。
イ 名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの
ロ 敷金や保証料金などのうち、返還を要しないもの
ハ 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など
必要経費とすることができるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるものであり、主なものとして貸付資産に係る次に掲げるものがあります。
イ 固定資産税
ロ 損害保険料
ハ 減価償却費
ニ 修繕費
④事業所得
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。(業務に係るものは雑所得になります。)
ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。
計算式:総収入金額-必要経費=事業所得の金額
総収入金額には、それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。
イ 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
ロ 商品を家事用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
ハ 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
ニ 空箱や作業くずなどの売却代金
ホ 仕入割引やリベート収入
必要経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のことをいい、例えば、次に掲げるようなものがあります。
なお、家事上の経費に関連する経費のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区別することができる場合のその部分に相当する経費の金額は必要経費となります。
イ 売上原価
ロ 給与、賃金
ハ 地代、家賃
ニ 減価償却費
⑤給与所得
大部分の給与所得者は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。
しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人(確定申告をすれば税金が還付される人は除きます。)は確定申告をしなければなりません。
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計が20万円を超える人
4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払いを受けている人
7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
所得金額の合計金額に含まれない所得
給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額には、次の所得は含まれません。
1 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの
2 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
3 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの
4 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等
5 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
6 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)
⑥退職所得
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいい、社会保険制度などに基因して支給される一時金、確定拠出年金法に規定する企業型年金規約個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金なども退職所得とみなされます。
⑦山林所得
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は、山林所得でなく、事業所得又は雑所得になります。また、山林を土地付きで譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。
⑧譲渡所得
譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にはなりません。
⑨一時所得
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
⑩雑所得
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸付金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
◇所得控除の種類
課税所得金額は、その方の全ての所得から所得控除額を差し引いて算出します。所得控除とは、控除の対象となる扶養親族が何人いるかなどの個人的な事情を加味して税負担を調整するもので、次の種類があります。
1 雑損控除 7寄付金控除 13配偶者特別控除
2 医療費控除 8障害者控除 14扶養控除
3 社会保険料控除 9寡婦控除 15基礎控除
4 小規模企業共済等掛金控除 10ひとり親控除
5 生命保険料控除 11勤労学生控除
6 地震保険料控除 12配偶者控除
◇まとめ
今回は確定申告における所得の種類と控除の種類について説明しました。確定申告が必要な所得なのか、どの控除がつかえるかなどを確認して自身の状況にあった確定申告を行えるようにしましょう。確定申告での相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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