“譲渡所得税”と計算方法~不動産を売却したら確定申告が必要?~
2024/04/15
所有する不動産等を売却して利益が出ると、所得税や住民税がかかります。この譲渡益に対し課税される税金を“譲渡所得税”と呼びます。今回は不動産を売却した際の譲渡所得税の申告手続きや計算方法、節税のポイントなどを解説します。
目次
譲渡所得税とは = 所得税と住民税
所有している土地、建物等を売って得た利益のことを、「譲渡所得」といいます。譲渡所得には所得税や住民税がかかるため、これらを総称して「譲渡所得税」と呼ぶこともありますが、正式な名称は「所得税」と「住民税」です。不動産の譲渡所得にかかる所得税と住民税は「分離課税」といって、給与所得や事業所得など他の所得とは切り離して計算されます。
譲渡所得の計算方法①
譲渡所得は、単純に「売れた価格」そのものではありません。不動産を売るまでには、購入時の不動産価格や購入の為の諸経費がかかっていますし、売却時には業者への仲介手数料等の費用がかかります。それらの取得価格や譲渡費用を売却価格から差し引いた“もうけ”の部分が課税される譲渡所得となります。
譲渡所得は以下の計算式で求められます。
譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用
・「収入金額」は売ったときの金額のことです。
・「取得費」は買ったときの金額と買ったときの費用の合計です。
・「譲渡費用」は売ったときの費用のことです。
具体的な取得費と譲渡費用は以下のような費用を指します。
取得費
・土地・建物の購入代金や建築代金
・購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税など)
・仲介手数料
・測量費、整地費、建物解体費など
・設備費、改良費
・一定の借入金利子
譲渡費用
・仲介手数料
・印紙税
・借家人に支払った立退料
・建物解体費など
・借地権の名義書換料など
なお、建物は期間の経過により価値が減少していくため、用途や構造、経過年数に応じた減価償却費を取得費の合計額から差し引くことになります、その為建物取得費は買った値段そのものとはならないので注意が必要です。
譲渡所得の計算方法② 長期・短期譲渡所得とは?具体的な税率等
譲渡所得にかかる所得税は、所得に税率を掛けて計算されます。税率は不動産を所有していた期間によって異なり、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれます。
長期譲渡所得:所有期間満5年超
税額=課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%+住民税5%)+※復興特別所得税
※平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。
具体的な計算例は下記リンクをご参照ください
短期譲渡所得:所有期間5年以下
税額=課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%+住民税9%)+※復興特別所得税
※平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。
具体的な計算例は下記リンクをご参照ください
譲渡所得の節税のポイント
不動産の売却に際して、節税のポイントを押さえておくことで、税金負担を軽減できます。
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- 各種特別控除、特例の適用を忘れないこと
一定の要件を満たしている場合、以下のような特別控除が適用されます
・収用等により土地建物を譲渡した場合 ・・・5,000万円
・マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合 ・・・3,000万円
・被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合・・・3,000万円
上記以外にも、特別控除が適用されるケースがあります。また、相続税を支払って取得した不動産を譲渡した際にはその相続税額を取得費に加算できる特例もあります。譲渡所得の申告が必要となった際はこれらの特別控除や特例の可否を検討してみてください。
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- 取得費の資料、譲渡の費用の資料を整理、保管しておくこと
取得費が不明な場合、譲渡代金の5%を概算取得費として計算することになり、割高の申告となってしまうケースがあります。取得の際の資料が確認できれば、正確な経費を見積もることができます。また、改築や改修等の費用が発生していたのであれば、それらの経費も取得費に加算できるケースがあります。契約書や費用の資料はきちんと保管することをお勧めします。
譲渡所得税の申告等でお悩みの方
本記事では不動産の譲渡所得税についてお話してきました。不動産を譲渡して利益がでた場合、譲渡した翌年の3月に確定申告が必要となります。特例の適用にあたって、本記事で網羅できていない細かな要件等もございます。不動産譲渡があり申告を検討されている方、申告前に税額の試算を検討したいという方もお気軽にご相談ください。掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。
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