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棚卸資産の評価方法・評価損・損金算入について

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棚卸資産の
評価方法・評価損・損金算入について

棚卸資産の評価方法・評価損・損金算入について

2024/08/19

 棚卸資産の期末評価の方法として選定することができる評価方法は、大きく原価法と低価法に分けられます。さらに、原価法は6つに区分されます。 原価法は期末棚卸資産について、一定の方法により取得価額を算出し、その算出した取得価額をもって、期末棚卸資産の評価額とする方法です。低価法は期末棚卸資産を種類等の異なるごとに区別し、その種類等のごとに原価法のうちのいずれかの方法により算出した取得価額と、事業年度終了の時における価額とを比較し、いずれか低い価額をもってその評価額とする方法です。

 また、税務上棚卸資産の評価損の計上は認められないのが原則ですが、災害により著しく損傷したときや著しく陳腐化したときなど特別の事実が生じた場合には、評価損の損金算入が認められます。

損金算入が認められます。

目次

    【棚卸資産の評価方法・評価損・損金算入】評価方法:原価法

    棚卸資産の評価方法:原価法(個別法)

     期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額を期末評価額とする方法です。この方法は、大量に取引され、かつ、規格に応じて価額が定められているようなものには適していません。高価で、個々に在庫管理が可能な棚卸資産に適した評価方法となります。

    棚卸資産の評価方法:原価法(先入先出法)

     最も古く取得したものから先に払出が行われるものとみなして評価する方法です。したがって、物価が上昇傾向にある時には販売利益が多く計算されますが、逆に物価が下落傾向にある時には販売利益が少なく計算されるという特徴があります。

    棚卸資産の評価方法:原価法(総平均法)

     期首棚卸資産と期中に取得した棚卸資産の平均単価で評価する方法です。会計処理は簡便です。

    棚卸資産の評価方法:原価法(移動平均法)

     同じ種類等に属する棚卸資産を取得した都度、その取得価額とその時において有する棚卸資産の取得価額とを平均して帳簿価額を定め、この繰返しにより順次期末までに移動して期末評価額を定める方法です。

    棚卸資産の評価方法:原価法(最終仕入原価法)

     期末に最も近い日に取得した単価で期末棚卸資産を評価する方法です。計算が簡便ですが、価格変動が大きい場合には、実際の取得価額との差が大きくなります。棚卸資産の評価方法の届出をしない場合は、この最終仕入原価法が適用されます。

    棚卸資産の評価方法:原価法(売価還元法)

     次の算式のように、期末棚卸資産の通常の販売価額の総額に原価率を乗じて期末棚卸資産を評価する方法です。この計算は、種類等を同じくする資産又は通常の差益率を同じくする資産ごとに行います。主に小売業で採用されています。

     

    期末棚卸資産の通常の販売価額の総額×原価率=評価額

    【棚卸資産の評価方法・評価損・損金算入】評価方法:低価法

     低価法とは、原価法によって算出した取得原価と、期末時点での時価のうち、低い方を評価額として採用する方法です。棚卸資産は、需要の低下や劣化などによって、取得時点よりも価値が急激に下がってしまうことがあります。そのような場合、低価法を使うと、より実態に即した会計処理を行うことができます。

    【棚卸資産の評価方法・評価損・損金算入】評価損・損金算入:税務上の評価損・損金算入

     棚卸資産の時価が下落したため、法人が資産の評価換えをして帳簿価額を減額した場合でも、その減額した金額は損金に算入されないこととされています。ただし、例外として棚卸資産について、次のような事実があった場合には損金経理により帳簿価額を減額することを条件に評価損の損金算入が認められます。

     

    ① 物損等の事実及び法的整理の事実が生じた場合

    ② 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定があった場合                      

    ③ 民事再生法の規定による再生計画認可の泱定その他これに凖ずる事実が生じた場合

     

     今回はこのうち物損等の事実について解説します。物損等の事実とは次のものをいいます。

    イ 棚卸資産が災害により著しく損傷したこと

    ロ 棚卸資産が著しく陳腐化したこと

    ハ イ又は口に準ずる特別の事実が生じたこと

     

     このうち(イ)は、棚卸資産について評価損が計上できる場合の典型的な事例です。

    災害により資産が損傷した場合に、評価損を計上するのは当然のことですし、損傷して売り物にならない、使い物にならない棚卸資産は当然に評価損を計上してもいいと考えるのが普通です。

     

     (口)の「著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいいます。

    したがって、例えば、商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当します。

     

    ① いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。

     

    ② 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。

     

    このうち、①の「いわゆる季節商品」とは、例えば正月用品のように一定の季節でなければ販売できない商品という意味ではなく、きわめて流行性が強いため、その時期に販売しなければ今後流行遅れとなって、もはや通常の価額では販売できなくなるような性質の商品という意味です。

    なお、棚卸資産の時価が、単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、陳腐化したことにはなりませんので、評価損の計上は認められません。

     

     (ハ)の「凖ずる特別の事実」とは、例えば、棚卸資産が破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったことをいいます。

     

    参照:第2款 棚卸資産の評価損|国税庁

    まとめ

     今回は棚卸資産の評価方法・評価損について説明させて頂きました。棚卸資産の評価方法によって会社の利益も手間も変わるため、自社はどの評価方法を採用するか検討することは有用かと思います。また、評価損計上を検討される際には、法人税法上否認されてしまう恐れもあります。まずは要件を確認してみましょう。

     会計・税務でお困り事がございましたら掛川総合会計事務所までご連絡頂ければ幸いです。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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