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離婚に伴う財産分与において税金はかかるのか? 思わぬ譲渡所得税・贈与税にご注意を!!

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離婚に伴う財産分与において
税金はかかるのか?
思わぬ譲渡所得税・贈与税にご注意を!!

離婚に伴う財産分与において税金はかかるのか? 思わぬ譲渡所得税・贈与税にご注意を!!

2024/09/24

 離婚時の財産分与は、夫婦が共同で築いた財産を清算するプロセスであり、通常は税金の対象とはなりません。しかし、金額が過大である場合や分与する資産の種類によっては例外的に税金が発生するケースがあります。

目次

    財産分与とは?

     財産分与とは、離婚時に夫婦が共同で築いた財産を公平に分配する制度です。この制度は、夫婦が婚姻生活中に協力して形成した財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することを目的としています。具体的には、以下のような要素が含まれます。

     

     清算的財産分与: 夫婦が婚姻中に形成した財産を清算し、基本的には2分の1ずつ分けることが一般的です。これは、夫婦の収入差にかかわらず、一方が専業主婦であっても適用されます。

     

     扶養的財産分与: 離婚後に経済的に困窮する可能性がある配偶者に対して、一定期間生活費を補助する形で行われることがあります。特に、専業主婦や健康上の理由で働けない場合などに考慮されます。

     

     慰謝料的財産分与: 離婚の原因となった配偶者の有責行為によって生じた精神的苦痛を償うための慰謝料を含む形で行われることがあります。

     

    •  また、財産分与の対象となる財産は、名義にかかわらず夫婦が協力して形成したものであり、不動産や預貯金、自動車などが含まれます。銀行借入等のマイナスの財産にも考慮が必要です。逆に、婚姻前から持っていた特有財産や相続によって得た財産は原則として対象外となります。

    分与される側に課税されるケース(贈与税)

    •  通常の財産分与においては、財産を分与される側(もらう側)には原則として税金は課税されません。しかし、下記のような場合には贈与税が課税される場合があります。

     

    ①分与される財産の額や割合が明らかに多すぎる場合

     財産分与は夫婦の財産関係の清算を目的としています。財産分与の割合は、一般的には原則として2分の1とされています。そのため、一般的な財産分与の割合を超えて財産の分与がなされた場合、超過する部分は財産分与の範囲外となるため、超過する部分に対して贈与税が課税される可能性があります。但し、財産分与の割合は夫婦の財産形成に対する貢献度によって決めるものです。2分の1を超えて財産分与をしたからといって直ちに贈与税が課税されるというわけではありませんが、例外的な割合で分与する場合には注意が必要です。

     

    ②離婚が偽装であるような場合

     夫婦が離婚して財産分与をしたとしても、その離婚が、贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合(=偽装離婚)、贈与税が課税されることがあります。偽装離婚をした場合、「財産分与の額が多すぎる場合」と異なり、財産分与として妥当な割合を超えた部分ではなく、離婚によってもらった財産すべてに対して贈与税が課税されます。

    分与した側に課税されるケース(譲渡所得税)

     分与する財産が現金や預貯金以外の場合、分与の際に時価で譲渡があったものと考えられ、分与時の時価が購入時の金額を上回った場合には譲渡所得税が課税されます。分与する資産が不動産や株式等である場合には思わぬ課税が発生することもあるので注意が必要です。

    参考:離婚して土地建物などを渡したとき

    よくある事例や特例の適用の可否、注意点について

     離婚に伴う財産分与において、よくある事例として自宅不動産の分与があります。夫名義の自宅を妻へ分与する場合には、夫側に譲渡所得税が課税されるケースがあるので注意が必要です。但し、この財産分与が離婚成立後に行われ、居住用財産を売った時の特例No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁の要件を満たしている場合には、3000万円の特別控除の適用があります。又、自宅不動産と共にローンの名義も移転する場合がありますが、不動産の時価よりもローン残高の方が大きい場合、ローン残高の金額の方が譲渡時の価額とされます。

     

     特に注意が必要なのは「登記原因」です。自宅の名義を変えることになりますので、法務局での登記手続きが必要です。登記簿には、どのような理由で名義が変わることになったのかという「登記原因」を記載することになっています。この場合は、「財産分与」です。

    しかし、正しく書類を作成しないと、「財産分与」としなければならないところを「贈与」などとして登記がされてしまうこともありえます。法務局としては、提出された書類のみによって審査しますので、「夫から妻に自宅を贈与しました」という内容の書類が提出されれば、登記簿に「贈与」として名義変更の登記を入れてしまうわけです。実際がどうだったか、というところまでは法務局は確認しません。登記原因によっては税金面において不利益を受けることも考えられます。

    まとめ

     財産分与において課税関係は生じないと考えられがちですが、上述したように、贈与税や譲渡所得税の課税リスクは十分にあります。登記原因や登記のタイミングによっても課税関係や特例適用の可否が変わる可能性もあるので、税理士・司法書士等の専門家へのご相談をお勧めします。お悩みの方は是非お気軽にご連絡ください。掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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