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中小企業投資促進税制  特定機械装置等を取得した場合の特別償却・税額控除について

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中小企業投資促進税制
特定機械装置等を取得した場合の
特別償却・税額控除について 

中小企業投資促進税制  特定機械装置等を取得した場合の特別償却・税額控除について

2024/11/05

 中小企業者の設備投資を促進させるため、一定の機械装置等を取得又は製作をした時に「特別償却」「税額控除」といった法人税法の特例制度が設けられています。今回は制度の内容や適用要件などについて解説します。

 

目次

    中小企業投資促進税制の概要について

     今回解説する制度は中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)という制度です。青色申告書を提出する中小企業者等が一定の機械装置等の対象設備を取得又は製作し事業の用に供した場合に、その事業の用に供した日を含む事業年度において取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を選択適用することができます。

     

     特別償却は、「取得価額×30%」を通常の減価償却とは別枠で償却することができる制度で、適用事業年度の損金の額を多く計上できます。償却限度額は、取得価額×30%相当額を普通償却限度額に加えた金額となります。 

     

    税額控除とは、法人税額から直接税額を控除することができる制度で、納付税額を少なくすることができます。税額控除限度額は、その事業年度の法人税額の20%が上限とされています。なお、税額控除限度額を超え控除されなかった金額については、1年間の繰越しが認められています。

     

     

    中小企業投資促進税制の適用対象法人

     

     この制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する中小企業者となります。この場合における中小企業者とは資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち、次の①・②に該当しない法人をいいます。

     

     ① 発行済株式又は出資の総数の1/2以上を大規模法人(資本金1億円超)に所有されている法人

     

     ② 発行済株式又は出資の総数の2/3以上を複数の大規模法人(資本金1億円超)に所有されている法人

     

     (注)税額控除を適用する場合は、中小企業者のうち資本金の額または出資金の額が3,000万円以下の法人に限られます。

    中小企業投資促進税制の適用対象資産

     この制度の対象となる資産は、新品貸付け用を除く次の資産となります。

     

    設備 取得価額
      機械装置   1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
      測定工具・検査工具

      1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの

    (1台又は1基の取得価額が30万円以上かつその事業年度における

      取得価額の合計額が120万円以上のものを含む)

      ソフトウェア

      一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの

    (その事業年度における取得価額の合計額が70万円以上のものを含む)

      車両運搬具

      一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が

      3.5トン以上のもの

      内航船舶

      500トン以上は国土交通大臣への届出が必要

     

    (注1)令和5年4月1日以後に取得する機械装置については、コインランドリー業の用に供するもので、その管理のおおむね全部を他人に委託するものは除かれます。

     

    (注2)車両運搬具が該当資産か否かは、車検証の「最大積載量」「自動車の種別」「車両総重量」欄により判定することができます。詳しくはページ下部のURLをご覧下さい。

     

    中小企業投資促進税制の適用手続き

      特別償却の適用を受ける場合には、法人税の確定申告書に「特別償却の付表」と適用額明細書を添付します。また、税額控除の適用を受ける場合には、法人税の確定申告書に「別表」と適用額明細書を添付します。どちらも法人の決算での調整事項になるため、特定機械装置等の取得前後で所定の手続きを行う必要はありません。

     

    留意点

     特別償却と特別控除は選択適用となるため、重複適用は認められていません。どちらを選択するかは法人が任意で決めることができます。ただし、特別償却は課税の繰延べ措置であり、減価償却費として損金の額に算入する時期を早めているだけで、トータルでの損金算入額は変わりません。長い目で見ると税額控除の方が有利になる場合があります。

     

     ただし、会社の資金繰りを考慮して、取得事業年度の内部資金を留保しておきたいという場合も考えられるので、財務内容に応じて選択することをおすすめします。

     

     また取得する特定機械装置等が、中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に該当する場合は、経営力向上計画の策定と認定申請の手続きが必要になりますが、一定の要件を満たすことで即時償却(取得価額の100%償却)または10%の税額控除を選択することができます。税制面では上記の中小企業経営強化税制よりも優遇されているため、該当資産を購入する場合は、積極的に制度の利用を試みてはいかがでしょうか。

     

     中小企業投資促進税制は租税特別措置法で期間が定められており、期限が近づく度に期間延長や内容の変更が行われており、以前と適用対象資産等が異なっているケースも考えられるので、適用を考えている場合には最新の制度をよく調べ注意して行う必要があります。

     

     

    (参考 国税庁 No.5433 中小企業投資促進税制

    (参考 国税庁 租税特別措置法第42条の6の対象となる車両運搬具の範囲について

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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