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団体信用生命保険の課税関係について

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ペアローン(連生団信)は所得税に要注意!
団体信用生命保険の課税関係について

ペアローン(連生団信)は所得税に要注意!団体信用生命保険の課税関係について

2024/11/11

 

 住宅ローンを契約する際、団体信用生命保険(団信)に加入するケースが多いと思います。

そもそも団信とはどういった保険なのか?保険料控除や課税関係について説明していきます。

目次

    団体信用生命保険「団信」とは?

     団信は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害になった場合に、保険金でローン残高を完済する制度です。これにより、契約者が就業不能等になった以後の返済や住宅ローンが完済されることで遺族の負担を軽減することができます。民間銀行で住宅ローンを組んだ場合、その銀行で扱っている団信に強制加入となります。但し、フラット35の利用者は団信の加入・非加入を選択できます。

     

    団信の仕組み

     団信は、住宅ローン契約者が死亡または高度障害になった場合に、住宅ローンの残債に相当する金額が保険金として金融機関に支払われます。がんや心臓病などの特定の疾病に対する特約保障も含まれる場合があります。

     

     団信の保険料は、住宅ローン金利に上乗せされて支払われます。団信は、一般の生命保険金とは異なり、保険金の受取人が金融機関であるため、保険金に対して所得税や相続税の課税対象とならないのが一般的です。また団信の保険料は生命保険料控除の対象外です。生命保険料控除は、保険金受取人が契約者か配偶者、または親族である場合に適用されますが、団信の契約者は住宅ローンを契約している金融機関であり、保険金受け取りも同じ金融機関となるため、団信は生命保険料控除の対象外となります。

     

    相続税との関係

     団信の保険金は、金融機関が受取人であるため相続税の課税対象とはなりません。また、住宅ローンも完済されたことになるので相続財産から債務として差引くこともできません。

     

    課税されるケース 「連生団信」は要注意!

     上記で説明したように、一般的には団信については所得税も相続税も課税されません。しかし「連生団信」の場合、課税されるケースがあるので注意が必要です。

     

     連生団信とは、1つの住宅ローンを夫婦が連帯債務者として一緒に返済しているケース(連帯債務型)や、夫婦がそれぞれでローンを組み、お互いの連帯保証人になるケース(ペアローン型)で加入できる団信で、夫婦のどちらか一方が死亡または高度障害の状態になったときに、ローン残高の全額(ペアローンの場合は2人分合計のローン残高)がゼロになる保険です。2人がそれぞれでローンを組むかたちになるペアローンの場合、通常の団信だと、夫の団信は夫のローン残高のみ、妻の団信は妻のローン残高のみの保障となります。仮に、夫が亡くなった場合、保険金でゼロになるのは夫のローン残高だけで、妻のローンの返済はこれまでどおり続くことになります。それが連生団信であれば、夫が亡くなった際、夫のローン残高だけでなく、妻のローン残高もゼロになるのです。

     

     連生団信の保険金が支払われた場合、支払われた保険金が一時所得とみなされ、所得税の課税対象となる可能性があります。具体例として、夫が死亡した場合、妻のローン残高がゼロになることで得られる経済的利益が一時所得とみなされることがあります。団信の場合、住宅ローン金利に含まれていた保険料相当額を経費として控除することはできません。これは、団体信用生命保険の保険料が所得税の生命保険料控除の対象外であるためです。

     

    課税所得の具体的な計算例等

     上記のように夫が死亡した例で、妻のローン残高が2000万円で、保険金により全額免除となった場合、経済的利益額2000万円から一時所得の特別控除額50万円を差し引いた1950万円が一時所得となります。連生団信は、通常の団信よりも保障が手厚い分、保険料負担は重くなります。がんなどの疾病保障の有無などによっても保険料は異なりますが、金利換算で年0.1~0.3%程度の上乗せとなるのが一般的です。また、ペアの両方ともが健康状態の診査をクリアしないと連生団信に加入することができない点にも注意が必要です。

     

    おわりに

     本記事では連生団信の課税について説明してきました。一般的に団信については課税関係が生じないと認識している方も多いかと思います。連生団信の場合、残された配偶者の債務が免除となるケースがあり、この部分については一時所得となる可能性も多いので注意が必要です。確定申告等でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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