法人税における資産の評価損は損金算入できる? 棚卸資産・固定資産・有価証券の取扱いを解説
2025/09/01
法人税では、保有する土地や有価証券、固定資産などの資産について、原則として時価の下落を理由に評価損を計上して損金に算入することはできません。
しかし、一定の条件を満たす場合には、例外的に評価損の計上が認められます。
この記事では、法人税における資産の評価損の基本ルールと、棚卸資産・固定資産・有価証券の評価損が損金算入できるケースを解説します。
目次
【基本】法人税で評価損が損金算入できない理由
法人が所有している資産について、時価の値下がりなどを理由に評価損として損金に算入することは認められていません。これは「資産が値下がり等したとしても、その資産を売却等しなければその損失は実現しない」という考え方によるものです。
会計上で評価損を計上したとしても、法人税法では損金不算入となり、帳簿価額の減額はなかったものとして扱われます。
ただし、一定の条件を満たす場合には、例外的に評価損の計上が認められます。以下、資産ごとに解説します。
【例外】評価損を損金算入できるケース
棚卸資産の評価損
棚卸資産については、次の事由に該当する場合に評価損を損金に算入できます。
①災害により著しく損傷したことにより棚卸資産の時価がその帳簿価額を下回ることとなった場合
②著しく陳腐化したことにより棚卸資産の時価がその帳簿価額を下回ることとなった場合
※「著しく陳腐化」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価値が今後回復しないと認められる状態にあることをいいます。例として以下が挙げられます。
(ⅰ) 季節商品の売れ残りで、今後通常の価額での販売ができないことが既往の実績から明らかな場合
(ⅱ) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、形式、性能、品質等が著しく異なる新製品の販売により、今後通常の方法では販売することができなくなった場合
また、破損や型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売できなくなった場合も対象です。
ただし、物価変動や過剰生産、建値の変更等の理由だけでの価額低下は、評価損の対象外となります。
固定資産の評価損
固定資産は通常、減価償却により毎期費用化されますが、次の事由に該当する場合に評価損を損金に算入できます。
➀ 災害により著しく損傷したことにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合
② その固定資産が1年以上にわたり有休状態にあることにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合
③ その固定資産が本来の用途に使用することができないため、他の用途に使用されたことにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合
④ その固定資産の所在する場所の状況が著しく変化したことにより固定資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合
一方で、次のような理由による価額の低下は評価損として認められません。
①過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗している場合
②当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じている場合
③当該固定資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高い場合
④機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化している場合
有価証券の評価損
有価証券も一定の場合に評価損を計上できます。代表的なものは以下の通りです。
①取引所売買有価証券等(一定の株式を除く)の価額が著しく低下した場合
②以外の有価証券について、その発行法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと
③会社更生法等、民事再生法等の規定により評価換えが必要になった場合
※「価額の著しい低下」とは、有価証券の期末時価が帳簿価額のおおむね50%以上
下回ることとなった場合で、近い将来価額の回復の見込みがない場合をいいます。
また、「資産状態が著しく悪化」とは、会社更生法や民事再生法の整理手続き開始の決定があった場合のほか、発行法人の1株または1口当たりの純資産価額が、取得時の純資産価額と比べて50%以上下回ることとなった場合をいいます。
なお、有価証券のうち売買目的有価証券については洗い替え方式の条件に時価法による評価損益の計上が認められています。
まとめ 評価損計上の注意点と実務上のポイント
評価損を損金に算入できるのは、上記のような要件を満たした場合に限られ、帳簿価額と期末時点の資産の価額との差額を限度として損金算入することができます。
特に重要なのは、「時価をどのように算定するか」という点です。時価の算定は煩雑なため、根拠資料を整えておく必要があり、また税務当局から説明を求められることもあるため、慎重な対応が求められます。
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