相続税が課税される財産の具体例
2022/07/11
相続が開始した場合、課税財産の合計額から債務・葬式費用・非課税財産を差し引いた額が基礎控除額を上回っている場合には相続税の課税対象となり、10ヶ月以内に申告・納税が必要となります。本記事では相続税の課税対象となる財産について簡単に説明します。
目次
1.一般的な課税財産
1-1 代表的な課税財産
・現金、預貯金 ・有価証券(上場株式、非上場株式、投資信託、出資金等) ・不動産 |
金庫の中や、相続開始日時点で保管していた現金については課税財産となります。相続開始日前に預金から現金を引き出しているケースも多く見受けられますが、預貯金残高を減らしてあっても相続開始日時点で保管されていた現金については現金として課税の対象となります。
1-2 その他の課税財産
・自動車 ・貸付金 ・宝石、貴金属、骨とう品、等々 |
必ず全ての財産を査定して細かな金額まで申告するわけではありませんが、高級車や年式の新しい自動車、財産的価値のあると思われる財産を所有されていた方は課税対象となる恐れがあります。
2.みなし相続財産
みなし相続財産とは、民法上の相続財産ではありませんが、相続税を計算する際は相続財産とみなして相続税を課税する財産のことです。代表的なものに生命保険金・死亡退職金があります。生命保険金と死亡退職金等は被相続人が所有していたものではなく、被相続人が亡くなったことで相続人のものになった財産です。これらはみなし相続財産として相続税の課税財産に含めて相続税を計算します。
・生命保険金
・死亡退職金
・生命保険に関する権利等
生命保険金・死亡退職金については、それぞれ「相続人数 × 500万円」の非課税枠がありますが、受取った金額が非課税枠を超えると相続税の課税対象となります。また生命保険金の非課税枠の対象となるのはあくまでも死亡に伴い支払われる保険金のみですので、生存給付保険金、入院給付金、特約還付金等には非課税枠の適用がないので注意が必要です。相続発生にともない名義変更が必要となる保険契約(保険事故が発生してない保険契約等)も、掛捨てでなければ解約返戻金相当額が課税対象となります。
3.生前贈与財産
・相続開始日前3年以内に被相続人より相続人へ贈与した財産
・相続時精算課税財産
財産を相続した人が相続開始日前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合には、相続財産として課税対象となります。贈与を受けた際に贈与税の納税している場合には、その贈与税額は相続税額から控除することができます。また相続時精算課税を適用して贈与を受けていた場合、その贈与財産は相続財産としての課税対象となります。
4.名義財産
・被相続人が保管・管理していた被相続人以外名義の預貯金
・被相続人が保険料を出した被相続人以外が契約者の保険契約等
親が子や孫名義で通帳を作成し預金している場合、名義預金として課税対象となる場合があります。また、配偶者の収入に対し不相当な配偶者名義の預貯金がある場合、名義預金として課税される場合があるので注意が必要です。例えば、配偶者が専業主婦なのに預貯金が何千万円とあった場合、そのお金の原資が被相続人の財産から作成されたものであれば、名義預金として被相続人の相続財産として相続税の課税対象となります。
同様に、被相続人がお金を出した契約者が被相続人以外の保険契約がある場合、贈与税・相続税の課税対象となることがあるので注意が必要です。
5.相続財産から控除できる債務
・借入金
・葬儀費用・お布施(葬式・お通夜〇 初七日×)
・未払金
被相続人に借入金があれば当然相続財産から控除できます。葬儀費用については本葬・お通夜に関する費用は相続財産から差し引かれます。葬式・お通夜に付帯する費用は飲食や寸志も費用として相続財産から差し引かれます。また、香典が財産として課税されない分、香典返戻費用は相続財産から差し引くことはできません。未払金とは本来被相続人が払うべきであった費用で、相続開始日より後で支払ったものを言います。代表的なものに入院・治療費、固定資産税や住民税等の公租公課等があります。
6.相続のことで困ったら
本記事では、相続税の課税対象となる財産の具体例についてお話してきましたが、あくまでも一般的な例示であり、実際の申告の際は不動産や株式等、評価額の計算が必要になる財産もあります。相続は発生したが納税義務が発生するか分からない、実際何から手をつけたら良いのかわからないという方、なにかお困りごとがございましたら掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
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