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使用人賞与の損金算入についての注意点

使用人賞与の損金算入についての注意点

2023/07/24

当期の業績が予想以上に好調で従業員の貢献に応えてあげたいと考えたとき、節税対策の一つとして決算賞与を検討する会社が多くあると思います。決算賞与について、法人税法上原則として支給日の属する事業年度に損金算入されるのですが、未払計上する場合は要件が厳しくなっており、損金算入するのは難しくなっているといえます。

1.使用人賞与の損金算入について

 

 

 損金算入のための要件

 

 従業員に対する賞与は、支給したときに経費に計上し損金算入するのが原則となります(令第72条の3第3号)。ただし、令第72条の3第1号又は2号の要件を満たしている場合には未払金として経費に計上した金額は損金算入されることとなります。この場合翌期開始から1月以内に通知した金額を通知額通りに支払う必要があります。

 

 ただし、通知日から支給日までに退職した従業員がいる場合で法人が支給日に在職する従業員のみに賞与を支給することとしているときは、その未払賞与の全額について損金算入できないこととなります。また、条文等で明記等されていませんが、給与規程等で賞与の支給日在籍条件を定めている場合には、結果的に誰も退職しなかったとしても、期末日時点で債務が確定しているとは言えないとも考えられるため、規程の見直しも含めてよく検討する必要があります。

 

 

 否認されないためには

 

上記解説のとおり、未払賞与の損金算入は税務上かなりハードルが高くなっていると言えます。そのため、やはり賞与を損金算入するためには原則である支給日の属する事業年度の損金の額に算入するのがベストです。銀行振込等の証拠がわかる方法で事業年度終了時までに従業員に決算賞与を支給し、損金の額に算入する方法がお勧めです。また、役員の親族が従業員として働いている場合には不相当に高額な部分の金額は否認されるため注意が必要です。

 

 

 

 

 

2.法令等について

 

 

次に、使用人賞与を支給するにあたって押さえておきたい法令等を挙げます。

 

 法人税法施行令第72条の3

 

<第72条の3  使用人賞与の損金算入時期> ※括弧書は省略しています。

内国法人がその使用人に対して賞与を支給する場合には、これらの賞与の額について、次の各号に掲げる賞与の区分に応じ当該各号に定める事業年度において支給されたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。

 

1 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与…当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

2 次に掲げる要件の全てを満たす賞与…使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度

イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。

ロ イの通知をした金額を当該通知をした全ての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること。

ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

3 前2号に掲げる賞与以外の賞与…当該賞与が支払われた日の属する事業年度

 

 

 法人税基本通達 9-2-43

 

<9-2-43  支給額の通知>

法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、令第72条の3第2号イの支給額の通知には該当しないことに留意する。

 

 

 法人税基本通達 9-2-44

 

<9-2-44  同時期に支給を受ける全ての使用人>

法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除く。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに、令第72条の3第2号イの支給額の通知を行ったかどうかを判定することができるものとする。

 

 

 

3.まとめ

 

 

 今回は使用人賞与の損金算入について解説しました。未払金計上する場合は法人税法上の損金算入への窓口が非常に狭くなっているので注意が必要です。決算間際になり利益が出すぎていたとわかった場合でも安易に未払計上するのではなく、規定を一つ一つチェックし、損金算入することが可能か検討する必要性があります。

 上記の制度についてお困りごとがございましたら、掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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