税理士法人掛川総合会計事務所

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帳簿とインボイスで生じる
消費税の差額について

帳簿とインボイスで生じる消費税の差額について

2023/09/19

インボイスと帳簿に記載された消費税額等に端数処理の関係によりずれが生じる場合には、ズレの調整の問題が新たに生じることになります。(現行の)区分記載請求書等保存方式においては記載する消費税額等の端数処理に係る規定は置かれていないためこの問題は生じませんが、適格請求書等保存方式の下では一の請求書につき消費税額等の端数処理は税率の異なるごとに1回のみと規定されたため問題が生じてくることとなります。

1.概要

会社により納品書・請求書の取引先への発行方法は異なりますが、今回のケースでは日々取引相手に納品書を交付して、請求書(インボイス)は月末に1回交付する場合を想定して解説します。

 納品書単位で記帳をする場合は、納品書単位で端数処理を行った仮受消費税等が帳簿に計上されます。一方で、請求書(インボイス)に記載すべき消費税額等は、一のインボイスごとに端数処理をして算定することとされています。よって、帳簿上の仮受消費税等とインボイスに記載した消費税額等にズレが生じることがあります。

このようなズレが生じた場合の処理は、売上税額の計算方法によって異なります。なお、売上税額の取扱いと仕入税額の取扱いについて大きな違いはないものの、仕入税額については帳簿積上げ計算での方法による計算が認められたため、それについて留意しなくてはなりません。

2.割戻し計算方式

割戻し計算方式では、帳簿を基に課税標準を算出することになるので、帳簿上の仮受消費税等をインボイスに記載した消費税額等に合わせるように調整し、ズレを解消する必要があります。帳簿に記載された仮受消費税額等と実際の消費税額との差額調整は、次の2通りに分かれます。

⑴ 本体価額の合計額に基づいて消費税額等の計算を行う場合

帳簿に記載された仮受消費税等と実際の消費税額等(インボイスに記載のある消費税額等)との差額は、売掛金に係る請求書上の金額と帳簿上の金額との差額と一致すると考えられます。実際に収受された金額と帳簿上の売掛金との間にも同額の差異が理論上生じるため、仮受消費税等の調整により売掛金の消込み差額も解消されると考えられます。

よって、 売掛金 ××× / 仮受消費税額等 ××× " などの仕訳を入れる対応をしなくてはなりません。

⑵ 税込価額の合計額に基づいて消費税額等の計算を行う場合

納品書に記載された税込価額の合計額に基づいて請求書(インボイス)の消費税額等を割戻しにより計算を行う場合、帳簿に記載された仮受消費税等と実際の消費税額等(インボイスに記載のある消費税額等)との差額は、本体価額に係る請求書上の金額と帳簿上の金額との差額と一致すると考えられます。そのため、仮受消費税等の調整により同額の売上が調整されることになると考えられます。

よって、 売上 ××× / 仮受消費税額等 ××× " などの仕訳を入れる対応をしなくてはなりません。

3.積上げ計算方式

売上税額の計算について積上げ計算方式を適用している場合ですが、インボイスに記載した消費税額等を基に計算するため、帳簿上の仮受消費税等は、インボイスに記載した消費税額等とのズレを調整する必要はありません。積上げ計算方式の場合、適格請求書等の写しに記載された消費税額等を積み上げることになるため、消費税額の計算上は帳簿に記載された仮受消費税等は関係がないことになるためです。

そのため、決算時に仮受消費税等と仮払消費税等を相殺した額と未払消費税等の額との差額は、雑損失または雑収入として従来通り処理することとなります。

以上の取扱いは売上税額と仕入税額の取扱いに違いはありませんが、インボイス制度が始まると課税仕入れの都度、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の場合は108分の8)を乗じて算出した金額(端数処理は切捨てまたは四捨五入)を仮払消費税とし、帳簿に記載しているときは、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出する方法である帳簿積上げ計算を仕入税額の税額計算として採用することができるようになります。

ただし、この帳簿積上げ計算方式もその帳簿に記載された仮払消費税額等を積み上げることになるため、ずれは生じないことになります。

4.まとめ

以上、帳簿とインボイスで生じる消費税の差額について解説しました。割戻し計算方式の場合、課税期間中の課税資産の譲渡等の対価の額に基づいて課税標準額を計算することになります。この課税標準額は、対価として収受し、または収受すべき金銭等で、消費税および地方消費税に相当する額を含まないものと規定されているため、帳簿に記載された税込価額ではなく、実際に収受された請求書等に記載された税込価額に基づいて計算しなければならず、以上のような差異が生じてくることとなります。

このような事例以外にも、インボイス制度が開始されてから直面する問題も出てくると思います。その際は掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

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