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一括償却資産

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一括償却資産の紹介 少額減価償却資産
との比較や注意点について

一括償却資産の紹介 少額減価償却資産との比較や注意点について

2023/10/16

10万円以上の資産を取得した場合、通常は減価償却資産として法定耐用年数と償却方法により減価償却費を計上します。今回は、以前に紹介した少額減価償却資産の特例との比較やメリット・デメリットについて説明していきます。

1.一括償却資産とは

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産は、一括償却資産として選択適用することができます。そして一括償却資産を償却する場合、法定耐用年数や償却方法に関わらず取得価額の3分の1を3年にわたって損金計上することができます。

具体的な計算方法は、取得価額を36ヶ月(3年間)で割り、事業年度の月数(通常は12ヶ月)を掛けて計算します。通常の減価償却費の計算では、事業の用に供した日から期末までの期間を月割りで計算しますが、一括償却資産は取得した期間に係わらず取得価額の 12 / 36ヶ月分 を損金計上することになります。

例えば事業年度の月数が12ヶ月の法人の場合、取得価額が18万円の減価償却資産を一括償却資産として会計処理した場合の減価償却費は以下のようになります。

  18万円 × 12 / 36ヶ月 = 6万円(当期の減価償却費)

2.少額減価償却資産の特例との違い

少額減価償却資産について、8月中にブログで紹介しているので詳細は次のリンクより確認してください。【少額減価償却資産の特例 対象範囲と注意点について解説】

一括償却資産と少額減価償却資産の特例で異なる点を以下の表に示します。

また、少額減価償却資産の特例は令和4年度の税制改正によって適用期限が2年間延長されていますので、令和6年3月31日までの間に取得等をして事業の用に供した減価償却資産が対象となります。しかし、一括償却資産に関しては適用期限が設けられていないため恒久的な制度となっています。

3.一括償却資産のメリットとデメリット

■ メリット

・償却資産税の申告対象とならないこと

償却資産税とは市町村の固定資産税の一種で土地や建物といった不動産以外の事業用の資産を対象とした税金です。10万円以上20万円未満の事業用資産については、一括償却資産として処理をすることで償却資産税の申告対象になりません。

 

・法定耐用年数より短い期間で償却ができる

取得後3年間で取得価額の全額を早期に損金に算入することができるので、納税額を繰り延べることができます。

 

■ デメリット

・一括償却資産は除却ができない

一括償却資産は償却期間中に除却・売却をしても除却損や売却損を計上することができません。

4.注意点

■ 除却や売却をした場合

 

  例題

◆ 除却した場合

前期に15万円のPCを4台購入し一括償却資産として処理しました。当期において2台のPCを除却したので以下の仕訳をした。

前期(購入)
  一括償却資産 60万円 / 現金・預金  60万円
前期(決算)
   減価償却費 20万円 / 一括償却資産 20万円
当期(除却)
          仕訳なし
当期(決算)
   減価償却費 20万円 / 一括償却資産 20万円

デメリットでも紹介しましたが、一括償却資産は除却損に計上することができません。よって、除却した後でも3分の1ずつ減価償却費を計上するため上記の仕訳となります。

 

◆ 売却した場合

それでは、売却した場合はどうなるでしょうか。

当期において2台のPCを10万円で売却した場合の仕訳は以下のようになります。

当期(売却)
  現金・預金 10万円 / 固定資産売却益 10万円
当期(決算)
  減価償却費 20万円 / 一括償却資産  20万円

こちらも売却損は計上しません。しかし、売却代金を固定資産売却益として計上することを忘れないようにしましょう。

 

■ 事業年度が1年に満たない場合

それでは法人設立した事業年度が1年に満たない場合も取得価額の3分の1を償却できるのでしょうか。

例えば、事業年度の月数が8ヶ月の新設法人が、取得価額18万円の資産を購入した場合は次の計算になります。

  18万円 × 8 / 36ヶ月 = 4万円

 

事業年度が8ヶ月の場合は上記のように計算します。2年目以降は事業年度が12ヶ月となりますので 12 / 36ヶ月で計算します。法人設立した事業年度や、その他の事業年度が12ヶ月でない法人は注意が必要ですね。

5.まとめ

10万円以上20万円未満の資産を取得した場合、会計処理の仕方は次の3つに分けることができます。通常の減価償却資産、少額減価償却資産の特例、一括償却資産、どれを選択するのかによってその期の損金が増減するので税額にも影響が出てきます。自社にとって一番有利な会計処理を選んでいきたいですね。税務会計や相続で何か困ったことがありましたら掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

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