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源泉徴収について
(インボイス未登録者に対する支払等)

源泉徴収について(インボイス未登録者に対する支払等)

2023/11/06

インボイス制度が令和5年10月1日から開始されましたが、免税事業者に支払う報酬・料金等に関して源泉徴収の対象とすべき金額をどのようにするか判断に迷うケースも出てくると思います。法人税法では仕入税額控除対象外部分を対価の額に含めて課税所得の計算を行わなければなりません。

しかし、源泉徴収の対象となる部分は仕入税額控除対象外部分に関係ないこととなります。

つまり、請求側から交付された請求書等に本体価格と消費税額等が明確に区分されていれば、請求書等に記載されている本体価格のみを源泉徴収の対象とすればよいこととなります。

1⃣ 源泉徴収制度の意義等

⑴ 源泉徴収制度の意義

 

所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。

この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するものです。

この制度により源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の額は、源泉徴収だけで納税義務が完結する源泉分離課税とされる利子所得などを除き、例えば、報酬・料金等に対する源泉徴収税額については確定申告により、また、給与に対する源泉徴収税額については、通常は年末調整という手続を通じて、精算される仕組みになっています。

この源泉徴収制度は、我が国においては、利子所得については明治32年から、給与所得については昭和15年から採用されているなど長い歴史を有しており、外国においても多くの国で採用されています。

⑵ 報酬・料金等所得等に対する源泉徴収

 

国税庁「消費税法等の施行に伴う源泉所得税の取扱いについて(法令解釈)」に次の様に規定されています。

所得税法第204条第1項の規定が適用される報酬・料金等並びに同法第212条第1項又は第3項の規定が適用される国内源泉所得又は報酬若しくは料金等(以下「報酬・料金等」という。)が支払われる場合において、当該報酬・料金等が消費税法第28条に規定する消費税の課税標準たる課税資産の譲渡等の対価の額にも該当するときの源泉徴収の対象とする金額は、原則として、消費税及び地方消費税の額を含めた金額となる。

ただし、報酬・料金等の支払を受ける者からの請求書等において報酬・料金等の額と消費税及び地方消費税の額が明確に区分されている場合には、当該報酬・料金等の額を源泉徴収の対象とする金額として差し支えない。

⑶ 解説

 

居住者に対し、国内において講演料・税理士報酬等の一定の報酬・料金等の支払をする者は、その支払の都度所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。一定の報酬・料金等については、原則として消費税額等を含めた税込価格が源泉徴収の対象となります。

ただし、講演者や税理士など報酬等を請求する者が発行する請求書等に報酬等の本体価格と消費税額等が明確に区分されている場合は、本体価格のみを源泉徴収の対象とすることができます。

つまり税抜価格を対象として、源泉徴収税額を計算することができます。

2⃣ インボイス制度下において

インボイス制度下でも上記取扱いに変更はありません。

ただし、請求側が免税事業者等の場合には、インボイス制度下では報酬等を支払う者における仕入税額控除が経過措置期間に応じて制限されるため、その期間での取り扱いに注意が必要となります。

制度開始から最初の3年間は仕入税額相当額の80%、次の3年間は仕入税額相当額の50%が仕入税額控除の対象となり、6年間の経過措置終了後は仕入税額相当額の全額について仕入税額控除を行えなくなります。法人税法では、仕入税額控除対象外部分を対価の額に含めて課税所得の計算を行わなければなりませんが、源泉徴収の対象となるのは仕入税額控除対象外部分に関係なく、請求側から交付された請求書等に本体価格と消費税額等が明確に区分されていれば、請求書等に記載されている本体価格のみとなります。

例えば、インボイス未登録者に対する報酬22,000円(税込)を支払った場合で考えてみます。消費税法上、経過措置を適用して仕入税額相当額の80%が仕入税額控除の対象とされるので1,600円が仮払消費税等となります。また、法人税法上、仕入税額控除対象外部分の残りの20%相当額である400円を報酬料金に含めて課税所得の計算を行うため支払報酬料は20,400円となります。

このケースにおいて交付された請求書に、支払報酬料である本体価格20,000円と消費税額等2,000円が明確に区分されていれば、源泉徴収の対象は、法人税法上における支払報酬料20,400円ではなく本体価格の20,000円とすることができます。

3⃣ まとめ

インボイス制度下における源泉徴収についてについて解説しました。6年間の経過措置があり、仕入税額控除対象外部分が発生するため対価の額につき判断に迷うケースが想定されます。その場合には難しいことは考えずに今まで通りでよいと思い出していただければと思います。

このような事例以外にも、インボイス制度が開始されてから直面する問題が出てくることもあると思います。その際は掛川総合会計事務所のスタッフが専門的な立場からアドバイスさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

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