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法人成りにあたっての届出書について

法人成りにあたっての届出書について

2024/01/15

個人事業者は事業が軌道に乗るにつれて、法人にした方が取引上や税金の面から有利になる可能性があるため法人設立を考えることも多いかと思います。昨今においては、働き方も変化しており自身で事業を始められる方もいますが、まずは個人事業者からスタートをするケースがほとんどかと思います。今回はその次のステップである個人事業者からの法人成りの届出について説明していきます。

1.設立に関する税務の手続き

1-1 法人設立届出書

設立した会社の概要を税務署に知らせるための書類であり、この書類を届け出ることにより税務署から法人税の申告に必要な書類が送付されてきます。

法人設立届出書は、定款等の写しを添付して、設立から2か月以内に提出することになっています。

また、法人設立届出書は、都道府県や市町村にも提出します。提出期限は設立から2か月以内というところが多いですが、東京都の場合は事業開始後15日以内と地方公共団体によりバラツキがあるのでご注意ください。

1-2 青色申告承認申請書

青色申告は、会社が法定の帳簿書類を備え付けて取引を記録し、整理保存することを条件に、会社に各種特典が与えられる制度です。特典として、欠損金額を10年間繰り越すことができたり、特別償却・税額控除の適用が受けられたりするなど税務上のメリットがあります。法定の帳簿書類として、主要簿であり備え付けが必須である仕訳帳・総勘定元帳・棚卸表の他、補助簿である現金出納帳や売掛帳等を必要に応じて備え付ける必要があります。

この適用を受けるために、青色申告の承認申請書を会社設立後3か月を経過した日と最初の事業年度終了のいずれか早い日の前日までに提出しなければなりません。

1-3 給与支払事務所等の開設届出書

会社が従業員等に給与の支払いをする場合には、会社には所得税の源泉徴収義務がありますので、給与等の支払事務を取り扱う事務所を開設した日から1か月以内に給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書を提出しなければなりません。この届出書を提出することにより、税務署から源泉所得税の納付書が送られてくるようになります。

1-4 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

会社が従業員等の給与から源泉徴収した源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっています。しかし、従業員等の給与の支給人員が10名未満の会社は、この源泉徴収した税金を年2回で納付する特例があります。この特例では給与等だけでなく、退職手当、税理士等の報酬・料金についても対象になります。配当等に関してはこの申請書の対象外になりますのでご注意ください。

この特例の適用を受けるには、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出する必要があります。期限の定めはありませんが、この書類を提出した日の翌月に支給する給与から適用されることとなります。

1-5 棚卸資産の評価方法の届出書

法人税法で定められている棚卸資産の評価方法には、原価法(個別法等6つの評価方法があります。)と低価法があります。棚卸資産の評価方法の届出は、法人設立の日を含む事業年度分の確定申告書の提出期限までに行います。

なお、法人が棚卸資産につき評価方法の選択をしなかった場合には、最終仕入原価法で算出した取得価額による原価法とされています。

1-6 減価償却資産の償却方法の届出書

減価償却資産の償却方法には、定額法、定率法、生産高比例法等があります。その中でも、定額法又は定率法が一般的な償却方法です。減価償却資産の償却方法の届出は、法人設立の日を含む事業年度分の確定申告書の提出期限までに行います。ただし例外があり、償却方法を選定した減価償却資産以外の減価償却資産を取得したときは、その資産の取得日を含む年度分の確定申告書の提出期限がこの届出書の提出期限となります。

なお、法人が減価償却資産の償却方法につき届出書を提出しなかった場合の法定償却方法は定率法となります。しかし、建物、附属設備、構築物については、定額法での償却方法が強制されますのでご注意ください。

1-7 事前確定届出給与に関する届出書

役員報酬が損金算入される要件として、その報酬が定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当している必要があります。そのひとつである事前確定届出給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出して、実際にその指定した時期に支給する給与のことをいいます。

新しく会社を設立した場合におけるこの届出書の提出期限は、会社設立以後2か月を経過する日までとなります。注意点としては、損金算入するためにはその届け出た所定の時期にその金額を支給しなければならず、届け出た通りでない場合には損金不算入となります。

2.個人事業廃止の手続き

2-1 個人事業の廃止届出書

個人事業を廃業する場合には個人事業の廃業届出書を税務署に提出する必要があります。個人事業に係る事業を複数営んでいる場合や不動産所得が生じる場合には、書類を提出する必要はありません。

不動産所得が新たに生じるケースとしては法人成りに伴い、個人で所有していた不動産を法人に賃貸するケースなどが考えられます。

書類の提出期限は、事業廃止から1か月以内になります。

2-2 青色申告の取りやめ届出書

青色申告を行っていた個人事業者は、所得税の青色申告の取りやめの届出書を提出する必要があります。書類の提出期限は、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日になります。

2-3 給与支払事務所等の廃止届出書

法人成りした後、個人事業の一部事業が残っている場合、新たに不動産所得が生じる場合では個人事業の廃業等届出書を提出しません。そのような場合において、かつ、従業員への給与の支払いがなくなるときは、給与支払事務所等の廃止届出書に廃業の旨を記入して提出する必要があります。

書類の提出期限は、事業廃止から1か月以内になります。

2-4 消費税事業廃止届出書

個人事業者が消費税の課税事業者であった場合には、事業廃止届出書を提出するべき事由が生じた場合に速やかに提出することとされています。

事業廃止に伴い、消費税課税事業者選択不適用届出書等の届出書等に事業廃止の旨を記載して提出した場合には、この届出書は提出する必要はありません。

3.まとめ

今回は法人成りにあたり、会社設立と個人事業の廃止に伴う届出の解説をしました。後日、法人成りによる税務の特殊な論点について解説していきたいと考えています。法人成りに限らず、会計や税務でお困り事がございましたら掛川総合会計事務所までご連絡いただければ幸いです。

 

 

 

 

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