税理士法人掛川総合会計事務所

消費税の納税義務は誰にあるのか?~間接税としての消費税の適正な転嫁のために~

お問い合わせはこちら

消費税の納税義務は誰にあるのか?
~間接税としての消費税の
適正な転嫁のために~

消費税の納税義務は誰にあるのか?~間接税としての消費税の適正な転嫁のために~

2024/04/22

最近は、消費税の税率改正があったりインボイス制度が始まったり、たびたび選挙でそのあり方が議論されることも多く、消費税は生活に一番身近な税金になっています。

この身近な税金である消費税について、消費税を納める義務、つまり消費税の納税義務者は誰かについて考えたことはありますか?

お店の商品やサービスの値札には、本体価格と消費税込の価格の両方が書いてあり、消費者は何の疑問もなく本体に消費税が加算された金額をお店に支払っています。

みなさんがこのような値札を見ると、自分自身が消費税を支払っているという意識が強くなるのではないでしょうか。

しかも、「消費税」という名前も、いかにも消費者が納めるべき税金という感じがするため、消費者が消費税を納める義務があると考えている人は多いと思います。

今回は我々の生活に必ず係わってくる消費税の仕組みについて考えてみます。

目次

    消費税の納税義務(消費税法第5条第1項の規定)

    消費税法では、消費税の納税義務者について、消費税法第5条第1項で次のように規定しています。

    【消費税法第5条第1項】

    「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により消費税を納める義務がある。」

    このように、消費税法では「事業者」が消費税の納税義務者である規定しています。

     

    国税庁ホームページによると、消費税法でいう「事業者」とは「事業を行う個人と法人をいう」とあります。つまり、事業を行う個人は消費税を納める義務があるということと、法人においては全ての法人が消費税を納める義務があるということになります。

    (小規模な事業者は消費税を納めなくて良い規定もありますがここでは議論を省略します)

     

    一方、消費者が消費税を納めなければならないという規定は消費税法のどこを探しても書いてありません。

    消費税は消費者が負担する事を予定している間接税

     では、店の値札に書いてある税込価格は何を表しているのでしょうか?

     消費税の納税義務者は事業者であることは分かりましたが、事業者が消費税を納税することは、その分事業のコストが増えることになります。このため、その増えた消費税分を商品やサービスの価格に上乗せして回収しなければ事業が成り立ちません。

     商品やサービスの価格に事業者が納付すべき消費税分を上乗せすることを「転嫁」といいます。消費税分が価格に転嫁された結果、消費者は最終的に事業者が納税する消費税を負担することになります。

     このように、負担者と納税義務者が異なる税金を「間接税」と言います。消費税の場合は、消費者が実施的な負担者であり、事業者が納税義務者です。

    消費税は価格の一部

     

     法律には、事業者が納付する消費税分を価格に転嫁する義務は規定されておらず、価格に転嫁するかどうかは事業者の任意です。あくまで、消費者が消費税の最終的な負担者になることが予定されているだけであり、消費者に消費税を負担させなければならないという規定はどこにもありません。

     

     消費税分を価格に転嫁する義務はないため、価格に転嫁できるかどうかは、事業者の力関係に左右されることが大いに考えられます。

     

     価格への転嫁が充分に行えないと、事業者は自ら消費税分を負担して納税をしなければなりません。当社は、消費税を価格に転嫁していないため消費税の納税はしません、という論理は通らないのです。

     

     消費税分を価格に転嫁しようがしまいが、事業者には課税売上の110分の10(軽減税率の場合は108分の8)の消費税が課税されます。

    消費税の適正な転嫁のために

    このように消費税の納税義務者は事業者であり、消費者は事業者が価格に転嫁した消費税相当額を最終的に負担することが予定されているという関係です。

    下請業者や卸売業者などの立場の弱い業者が消費税分を価格に充分に転嫁出来ない場合は、立場の弱い事業者の経営を大きく圧迫することになりかねません。

    取引上の優越した地位を乱用し消費税分の価格転嫁を妨げるような行為があった場合は、独占禁止法や下請法などに違反する場合があるため注意が必要です。

    また、適正な転嫁ができてこそ事業は円滑に運営できます。また、消費税相当額以上の値上げをしたとしても合理的な理由があれば便乗値上げには当たりません。

    仕入価格の上昇や賃上げの影響で近年経営コストはますます上昇しています。全てを企業で吸収しようとせず適正な価格の値上げをすることは経営上大切な選択です。

    今回は消費税の仕組みの一番の入り口である納税義務者について考えました。

    次回以降、次第に奥深く興味深い記事を書いていこうと思います。

    掛川総合会計事務所は経営上の様々な相談に寄り添ってまいります。

    ----------------------------------------------------------------------
    税理士法人掛川総合会計事務所
    436-0022
    静岡県掛川市上張202
    電話番号 : 0537-24-4607
     

    御前崎支店
    437-1612
    静岡県御前崎市池新田3946-8
    電話番号 : 0537-86-9788


    掛川市の税理士法人掛川総合会計事務所

    掛川市で税務会計を総合的に支援

    掛川市で確定申告のサポートなら

    ----------------------------------------------------------------------

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。