棚卸資産の評価方法・評価損について
2024/04/29
棚卸資産の期末評価の方法として選定することができる評価方法は、大きく原価法と低価法に分けられます。さらに、原価法は6つに区分されます。 原価法は期末棚卸資産について、一定の方法により取得価額を算出し、その算出した取得価額をもって、期末棚卸資産の評価額とする方法です。低価法は期末棚卸資産を種類等の異なるごとに区別し、その種類等のごとに原価法のうちのいずれかの方法により算出した取得価額と、事業年度終了の時における価額とを比較し、いずれか低い価額をもってその評価額とする方法です。
また、税務上棚卸資産の評価損の計上は認められないのが原則ですが、災害により著しく損傷したときや著しく陳腐化したときなど特別の事実が生じた場合には、評価損の損金算入が認められます。
目次
棚卸資産の評価損:税務上の評価損
棚卸資産の時価が下落したため、法人が資産の評価換えをして帳簿価額を減額した場合でも、その減額した金額は損金に算入されないこととされています。ただし、例外として棚卸資産について、次のような事実があった場合には損金経理により帳簿価額を減額することを条件に評価損の損金算入が認められます。
① 物損等の事実及び法的整理の事実が生じた場合
② 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定があった場合
③ 民事再生法の規定による再生計画認可の泱定その他これに凖ずる事実が生じた場合
今回はこのうち物損等の事実について解説します。物損等の事実とは次のものをいいます。
イ 棚卸資産が災害により著しく損傷したこと
ロ 棚卸資産が著しく陳腐化したこと
ハ イ又は口に準ずる特別の事実が生じたこと
このうちイは、棚卸資産について評価損が計上できる場合の典型的な事例です。
災害により資産が損傷した場合に、評価損を計上するのは当然のことですし、損傷して売り物にならない、使い物にならない棚卸資産は当然に評価損を計上してもいいと考えるのが普通です。
口の「著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいいます。
したがって、例えば、商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当します。(法人税法基本通達9-1-4)
① いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
② 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
このうち、①の「いわゆる季節商品」とは、例えば正月用品のように一定の季節でなければ販売できない商品という意味ではなく、きわめて流行性が強いため、その時期に販売しなければ今後流行遅れとなって、もはや通常の価額では販売できなくなるような性質の商品という意味です。
なお、棚卸資産の時価が、単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、陳腐化したことにはなりませんので、評価損の計上は認められません。(法人税法基本通達9-1-6)
ハの「凖ずる特別の事実」とは、例えば、棚卸資産が破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったことをいいます。(法人税法基本通達9-1-5)
まとめ
今回は棚卸資産の評価方法・評価損について説明させて頂きました。棚卸資産の評価方法によって会社の利益も手間も変わるため、自社はどの評価方法を採用するか検討することは有用かと思います。また、評価損計上を検討される際には、法人税法上否認されてしまう恐れもあります。まずは要件を確認してみましょう。
会計・税務でお困り事がございましたら掛川総合会計事務所までご連絡頂ければ幸いです。
今回は棚卸資産の評価方法・評価損について説明させて頂きました。棚卸資産の評価方法によって会社の利益も手間も変わるため、自社はどの評価方法を採用するか検討することは有用かと思います。また、評価損計上を検討される際には、法人税法上否認されてしまう恐れもあります。まずは要件を確認してみましょう。
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