高額特定資産の取得と消費税の関係について
2024/06/24
皆様の中で高額特定資産の取得をすると3年間の縛りがあると聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回はその「3年の縛り」とそもそも「高額特定資産」とは何なのかについて説明していきたいと思います。
目次
高額特定資産取得による3年の縛り(免税事業者になれない)
次は「3年の縛り」について解説をしていきます。原則課税を適用の期間中に高額特定資産を取得した場合、以下に示す2つの縛りが生まれます。
⑴ 免税点制度の適用制限 (3年間、免税事業者になれない) ⑵ 簡易課税選択届出書の提出制限 (2年間、簡易課税制度選択届出書を提出できない) |
例を用いて説明しますとR3.4.1~R4.3.31の原則課税を適用の期間中に高額特定資産の取得があったとします。
まず⑴より免税事業の適用を受けることのできる期間が制限されます。下の図にあるように、高額特定資産を取得した翌期の初日(R4.4.1)から、高額特定資産を取得した期の初日から3年を経過する期間(R6.3.31)までは免税事業者になることができなくなります。図だけを見ると、免税になれないのは2年間だけではないかと思うかもしれませんが、高額特定資産を取得した期というのは課税事業者であることが前提となっているため合わせて「3年間」の縛りとして説明されることがあります。
高額特定資産取得による3年の縛り(簡易課税事業者になれない)
次に⑵の縛りになりますが、こちらも図を見ていただくと2年間の縛りのように見えます。制限期間も高額特定資産を取得した期の初日から、3年を経過する日の属する期間の初日の前日(R5.3.31)までと免税点制度の時と比べ制限期間のずれもあるように思うかもしれません。
ここで、簡易課税制度選択届出書に関して思い出していただきたいのは、適用を受ける課税期間の開始日の前日までに提出をする必要があることです。
(2)の縛りというのは簡易課税の適用に関してではなく、届出書の提出に関しての制限となっています。R5.3.31まで届出書が提出できないという事は、R5.4.1~R6.3.31は簡易課税の適用を受けることができないことになります。
よって高額特定資産を取得した期のR3.4.1~R6.3.31の「3年間」は課税事業者であり、原則課税を適用する必要があります。
図のように、高額特定資産を取得した期首(R3.4.1)以前より簡易課税制度選択届出書を提出していたが、基準期間であるH31.4.1~R2.3.31の課税売上高が6,000万円であったため、R3.4.1~R4.3.31の期間は原則課税となっています。
R4.4.1~R5.3.31 の期間は基準期間の課税売上高からみるとR2.4.1~R3.3.31の課税売上高が500万円であるため免税事業者になるかと思いますが、今回の話のテーマである高額特定資産の取得の(1)の縛りがあるため、課税事業者となります。また、(2)の縛りである簡易課税制度選択届出書の提出の縛りもありますが、今回のケースでは届出書を事前に提出済みとなっており、R4.4.1~R5.3.31の基準期間の課税売上高は5,000万円以下なので、簡易課税の適用を受けることができます。
あくまで、縛りというのは「簡易課税の適用が受けられない」ではなく、「簡易課税制度選択届出書が提出できない」ことですので、上のような事例も考えられます。
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