税理士法人掛川総合会計事務所

防災用品の損金算入~企業が知っておくべき節税ポイント~

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防災用品の損金算入
~企業が知っておくべき節税ポイント~

防災用品の損金算入~企業が知っておくべき節税ポイント~

2024/09/09

 企業にとって、リスク管理は業務運営の重要な要素です。8月中旬には初めて南海トラフ地震の臨時情報が発表されました。また、最強クラス台風7号が関東に接近し新幹線や在来線が計画運休するなど、災害に関するニュースが多く、国民の防災意識がより高まる要因となりました。防災用品の導入は単なるコストではなく、実は損金算入という形で経済的なメリットも得られる可能性があります。本記事では、防災用品の損金算入について詳しく解説し、どのように企業がこの控除を活用できるかを探ります。

 

 

目次

    防災用品の重要性と企業の責任

     自然災害が頻発する現代において、防災対策は企業の責任の一部といえます。地震、台風、火災などの思わぬリスクに備えるために、企業はさまざまな防災用品を準備する必要があります。これには、非常用食料品や飲料水、応急処置キット、避難用具などが含まれます。

     

     企業には、所在地の自治体によって防災用品を備蓄する努力義務が定められています。例えば、東京都では東日本大震災をきっかけとして、帰宅困難者を生み出さない目的として「東京都帰宅困難者対策条例」が定められました。

     

     他にも、労働契約法5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」に基づく安全配慮義務があり、これは災害時にも適用されます。

     

     これらの対策は、従業員の安全を守るだけでなく、事業の継続性を確保するためにも重要です。

     

    (参考 東京都防災ホームページ:東京都帰宅困難者対策条例

    (参考 労働契約法 | e-Gov 法令検索

     

     

    防災用品と損金算入の関係

     企業が防災用品を購入した場合、その費用の一部を法人税の課税所得の控除対象とすることができます。これは、企業が災害に備えて必要な設備や物品を購入する際の負担を軽減し、リスク管理を促進するための措置です。

     前提として、特定の人物のみだけではなく、全役員と全社員のための備蓄であることが重要ですので注意しましょう。具体的には、次のような控除が考えられます。

     

    ・減価償却資産としての扱い

     防災用品のうち、長期間使用できるものや高額なものは減価償却資産として扱います。例えば、非常用発電機や大型の防災設備などは、耐用年数に応じて数年間にわたり減価償却が可能です。

     毛布やヘルメットなどについては、1点の購入金額が10万円を超えるような物品については、減価償却資産に計上しなければならないと考えられます。

     この場合、毎年の減価償却費が法人税の課税所得の控除対象となり、税負担の軽減が期待できます。

     

    ・一時費用としての計上

     一方で、消耗品や短期間で使い切るアイテム(例:非常用食料品、医療用品など)は、購入時に全額を損金に算入することができます。非常用食料品については備蓄した時点で消費したものとして取り扱うこととされているため、棚卸資産として計上する必要はありません。これにより、購入年度の法人税の課税所得を直接減少させることができます。

     

    (参考 船橋・千葉会社設立・開業相談オフィス:【会社設立後に知っておきたい税務】災害用備蓄品の購入時の処理

    (参考 国税庁:非常用食料品の取扱い

    損金算入を適用するための具体的な手続き

     防災用品の購入費用を損金算入の対象とするためには、以下のような手続きが必要です。

     

    ・購入費用の記録と証拠

     防災用品の購入に際しては、領収書や請求書などの証拠書類を必ず保存しましょう。これらの書類は、税務調査の際に損金算入の根拠として必要になります。

     

    ・申告書への記載

     法人税の申告書において、減価償却資産として扱う場合は「減価償却資産の取得価額」として、また一時費用として扱う場合は法人の決算において費用として計上します。損金算入の適用範囲や具体的な記載方法について不明点がある場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。

    防災対策の導入と企業の利益

     防災用品の導入は、単に税負担を軽減するためだけでなく、企業全体のリスク管理を強化するためにも重要です。内閣府でも政策の一つとして「企業の防災対策」が推進されており、従業員と事業所の安全確保を第一優先とし、災害発生時にその経営資源を守り、事業活動を継続・復旧させることを目的とした事前の災害対策を企業に求めています。

     

     防災対策の重要性として、以下の備えがきちんとできているかの確認が求められます。

     

     ① 事業所の耐震化

     ② 人命の安全確保 (避難経路/救命救助)

     ③ 安否確認

     ④ 役割・体制 (指揮命令、被害確認)

     ⑤ 教育・訓練の実施

     ⑥ 食料・医薬品、トイレ 等の備蓄

     ⑦ 二次災害防止 (出火/落下/飛散/浸水)

     ⑧ オフィス家具・機器の 転倒防止

     

     事前の備えが、生命の安全確保(ヒト)と物的被害(モノ)の軽減に繋がります。災害時に備えた準備が整っていることで、従業員の安全が確保され、事業の中断を最小限に抑えることができます。結果として、企業の信頼性が向上し、業務の安定性が確保されるのです。

     

    (参考 内閣府:企業の防災対策・ 事業継続強化に向けて ~切迫する大規模地震を乗り越えるために~

     

     

    おわりに

     防災用品の導入に伴う法人課税所得の減額は、企業にとって有効な節税策であると同時に、リスク管理の一環でもあります。法人課税所得の減額を最大限に活用するためには、購入費用の正確な記録と申告書への適切な記載が求められます。防災対策は、企業の安全と安定を支える重要な要素ですので、ぜひこの機会に導入を検討し、税制優遇の恩恵も受けてみてください。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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