「業務にかかる雑所得」とは~副業収入にかかる所得税~
2025/04/28
令和元年までの確定申告書の雑所得の欄は「公的年金等」「その他」の2つの区分に分かれていましたが、令和2年分の確定申告書から、確定申告書に記載されている雑所得が「公的年金等」「業務」「その他」の3つの区分に分かれていることをご存じですか?それまでの区分に加え「業務」の区分が追加されています。令和元年までは公的年金等以外の雑所得は「その他」の区分に記載しましたが、今後は、かつての「その他」の項目をさらに分割して「業務」「その他」に区分して記載することになります。
目次
副業にかかる収入の確定申告の必要性
最近は、シェアリングエコノミーの普及や、会社が副業を推奨する場合もあり、副業収入のある方が増えています。シェアリングエコノミーや副業などから生じる所得は原則として雑所得に該当し、その区分は「業務」になります。今回は副業で収入がある方や、これから副業で収入を得たいと考えている方のために副業収入の確定申告について解説します。
サラリーマンなどの給与所得者は通常、給与支給時の源泉徴収と年末調整によって納付すべき所得税が清算されるため確定申告をする必要がありません。ただし給与所得者であっても副業収入がある方については、年間の副業収入で得た利益が20万円を超える場合に所得税の確定申告が必要になります[1]。この場合、副業の内容や規模によって、事業所得として申告する場合と、雑所得として申告する場合があり、適切な所得区分で申告することが求められます[2]。
[1] 副業の利益が20万円以下であっても、住民税の確定申告は必要です。
[2] 副業の区分は正確には不動産所得や山林所得に該当する場合もありますが、今回の記事ではこれらについては省略します。
事業所得と雑所得の違い
事業所得と雑所得の取扱いの違いについて重要な点は、青色申告の承認を条件に事業所得では最大65万円の青色申告特別控除が適用できることや青色事業専従者給与の必要経費算入が認められることがあげられます。また、事業が赤字になった場合は、その赤字を給与所得などの他の所得と通算し、場合によっては所得税の還付を受けることが可能です。一方雑所得の場合にはこれらの特例は設けられておらず、雑所得が赤字になっても雑所得の赤字を他の所得と通算することはできません。これらの違いがあるため、行っている取り組みから生じる所得が事業所得か雑所得かの区分については厳密に判定する必要があります。事業規模に至らない業務から生じた所得から青色専従者給与を費用として差し引いたり青色申告特別控除を適用したり、赤字を事業所得の損失として確定申告して他の所得の利益と損益通算することは認められません。
事業所得とはなにか
事業所得の要件については過去の判例が通説になっています。
| 事業所得は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性・有償性の有無、反復継続性の有無、自己の危険と計算における事業遂行性の有無、その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などを総合して、社会通念上事業と認められるかによって判断する(昭和56年4月24日最高裁判所判決他参照) |
難しい表現ですが、分かりやすく言うなら、生活の資を得るために本業として真剣に取り組んでいる仕事が事業であるということで、一定以上の経営規模が求められ、他の人が見ても、あの人は事業をやっているな(例えば農家とか建設業とか床屋さんとか)と客観的にわかることが必要です。これに対し、事業に及ばない小規模な業務で得られた収入は雑所得になります。
「業務に係る雑所得」と「その他雑所得」の違い
業務にかかる雑所得とその他雑所得の違いは、所得税基本通達35-1と同35-2にそれぞれの例示が掲載されています。それによると、その他雑所得には、勤務先から得る貸付金利息や個人年金等の収入が該当し、一方、業務に係る雑所得は、営利を目的として継続的に行っている事業に至らない程度の業務から生じる所得がその主な内容になります。例えば、業務にかかる雑所得の具体例としては、事業規模に至らない程度で行うシェアリングエコノミーや、事業としての規模を有しない農作物の栽培と販売、事業規模に至らない太陽光発電施設による売電、大学教授の講演や執筆なども原則的に業務に係る雑所得に該当します。
事業性の形式的判定方法
事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上、事業といえる程度で行っているかどうかで判定されますが、社会通念上という概念が曖昧で分かりにくいことから、所得税基本通達35-2の解説において、事業規模の判定方法として形式的判定基準を示しています。それによると、原則として業務に係る帳簿を保存している場合は事業所得であるとしつつも、その所得の収入金額が僅少である場合、またはその所得を得る活動に営利性がない場合は事業に該当しないとしています。
そして、収入金額が僅少である場合とはその所得の収入金額が3年続けて300万以下でありかつ本業の収入の1割以下の収入しかない場合を言い、営利性がない場合としては、その所得が3年連続赤字である場合を上げています。
例えば、所得税法27条で事業所得の例示の筆頭に挙げられている農業について考えてみると、一部の農産物の販売はしているもののその他の農産物については家事消費が主であり、3年連続赤字を計上している場合には、その所得は事業所得としてではなく、業務に係る雑所得と判定されると考えられます[3]。
[3] 農産物の全てを家事消費している場合は申告不要ですが、申告する場合においても営利性、有償性等に欠けるため雑所得に該当すると考えられます。
おわりに
近年様々な副業が存在し、税務上どのように取り扱われるのか判断が難しいものもあります。すでに副業収入のある方や、これから副業を検討している方も、副業収入の確定申告についてあらかじめ調べておくことをお勧めします。
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