平成21年・22年に取得した土地を売却した方必見! 譲渡所得の1,000万円特別控除とは?
2026/09/07
土地を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して所得税や住民税が課税されます。
しかし、一定の要件を満たす土地を売却した場合には、譲渡所得から最高1,000万円を控除できる特例があります。
この特例は、すべての土地の売却に利用できるものではありません。特に重要なのが、平成21年または平成22年に取得した土地等であることです。
本記事では、平成21年・22年に取得した土地等を売却した場合に利用できる「1,000万円特別控除」について、適用要件や計算方法、確定申告の手続きについて解説します。
目次
譲渡所得の1,000万円特別控除とは?
「特定の期間に取得をした土地等を譲渡した場合の1,000万円の特別控除」は、個人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得した国内の土地等を一定の要件のもとで売却した場合に、その土地等に係る長期譲渡所得から最高1,000万円を控除できる制度です。
例えば、土地を売却したことによる譲渡所得が2,000万円の場合、この特例を適用できれば、
2,000万円-1,000万円=1,000万円
となり、課税対象となる譲渡所得を1,000万円減らすことができます。
ここで注意したいのは、売却代金から1,000万円を差し引く制度ではないということです。取得費や譲渡費用を差し引いて計算した「譲渡所得」から、最高1,000万円を控除します。
この制度が創設された背景には、平成20年のリーマン・ショック後の景気低迷や土地市場の停滞があります。
平成21年度税制改正では、景気回復を後押しするための土地税制の見直しが行われ、平成21年・22年に取得した土地を5年超保有して売却した場合に、譲渡所得から1,000万円を控除する制度が創設されました。
土地を取得する際の税負担を軽減するのではなく、一定期間保有した土地を将来売却する際の税負担を軽減することで、土地の取得・保有を促し、土地取引の活性化につなげることが、この制度の狙いの一つでした。
そのため、対象となる取得期間が平成21年・22年の2年間に限定されています。現在では、制度が創設された当時からかなり時間が経過していますが、平成21年・22年に取得した土地を現在も所有している方については、売却時にこの特例を利用できる可能性があります。
1,000万円特別控除の適用要件
この特例を適用するには、主に次の要件を満たす必要があります。
◇平成21年・22年に取得していること
対象となるのは、
・平成21年1月1日から平成21年12月31日までに取得した土地等
・平成22年1月1日から平成22年12月31日までに取得した土地等
です。
また、平成21年に取得した土地等については平成27年以降、平成22年に取得した土地等については平成28年以降の譲渡が対象となります。
現在売却する場合には譲渡時期の要件を満たすことになりますが、まずは取得した年月日を確認することが重要です。
◇国内の土地等であること
対象となるのは、国内にある土地または土地の上に存する権利です。
◇長期譲渡所得であること
この特例は、短期譲渡所得には適用できず、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える土地等である必要があります。
相続・遺贈や親族から取得した土地は対象になる?
この特例では、土地の取得方法についても注意が必要です。
平成21年・22年に取得した土地であっても、配偶者や親族などの特殊な関係にある者から取得した土地等は対象外となります。
例えば、平成21年に父親から土地を購入し、その土地を現在売却する場合、取得時期の要件を満たしていても、この特例を利用することはできません。
また、相続や遺贈、贈与などによって取得した土地等も対象外です。例えば、
「父が平成21年に土地を購入し、その後、子が相続して現在売却する」
というケースでは、父が平成21年に取得していたとしても、子が相続によって取得した土地について1,000万円特別控除を適用することはできません。
このため、相続した土地を売却する場合には、単に「いつ購入された土地なのか」だけでなく、自分がどのような原因で取得したのかを確認する必要があります。
他の特別控除との併用に注意
土地を売却した場合には、1,000万円特別控除以外にもさまざまな譲渡所得の特例があります。
例えば、マイホームを売却した場合の3,000万円の特別控除などです。
ただし、1,000万円特別控除については、一定の譲渡所得の特例を適用する場合には併用できないケースがあります。
そのため、「1,000万円控除が使えるか」だけでなく、他に利用できる特例がないか、どの特例を適用するのが有利なのかを確認することが重要です。
譲渡所得の計算方法
土地を売却した場合の譲渡所得は、売却金額そのものではありません。基本的には、次の計算式で求めます。
譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
取得費には、土地の購入代金や購入時の仲介手数料などが含まれます。
譲渡費用には、売却時の仲介手数料や測量費、売買契約書の印紙代など、売却のために直接要した費用が含まれます。例えば、
・売却価額:5,000万円
・取得費:2,500万円
・譲渡費用:500万円
の場合、
5,000万円-2,500万円-500万円=2,000万円
となり、譲渡所得は2,000万円です。1,000万円特別控除を適用できれば、
2,000万円-1,000万円=1,000万円
が特別控除後の譲渡所得となります。
なお、取得費が分からない場合には、原則として譲渡価額の5%を概算取得費とすることができます。実際の取得費を証明できる資料がある場合には、実額で計算できる可能性があるため、購入時の契約書や領収書などを確認しましょう。
1,000万円控除で税金はいくら変わる?
先ほどの例で、1,000万円特別控除を適用した場合と、適用しない場合の税額を比較してみましょう。
長期譲渡所得の税率は、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて原則20.315%です。
◇特別控除を適用しない場合
2,000万円 × 20.315%= 406万3,000円
◇1,000万円特別控除を適用した場合
(2,000万円-1,000万円)× 20.315%= 203万1,500円
このケースでは、単純計算で約203万円の税負担が軽減されます。ただし、実際の税額は他の所得や所得控除、適用する特例などによって異なるため、上記はあくまで概算の金額となります。
確定申告の手続きと必要書類
この特例は、要件を満たしていれば自動的に適用されるものではありません。
適用を受けるためには、譲渡所得について確定申告を行い、1,000万円特別控除を適用する必要があります。
申告の際には、主に次のような書類を準備します。
・確定申告書
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
・土地等の取得時期を確認できる書類
・取得時の売買契約書等
・売却時の売買契約書等
・仲介手数料等の領収書
平成21年・22年の取得となると、購入時の契約書などが見つからないケースもあります。土地の売却を予定している場合は、売却前の段階で取得時の資料を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
平成21年・22年に取得した土地等を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高1,000万円を控除できる可能性があります。
ただし、適用できるかどうかを判断するためには、
・平成21年・22年に取得しているか
・国内の土地等であるか
・長期譲渡所得に該当するか
・親族などの特殊な関係者から取得していないか
・相続・遺贈・贈与などによる取得ではないか
・他の譲渡所得の特例との関係に問題がないか
・取得費や譲渡費用を適切に計算できているか
といった点を確認する必要があります。
特に、相続した土地や親族から取得した土地は、取得時期だけを見ると対象になりそうでも、実際には特例を利用できないケースがあります。
また、土地の売却では、1,000万円特別控除以外にも利用できる特例がある可能性があります。
「平成21年・22年に購入した土地を売却したい」「昔購入した土地を売却する予定がある」という方は、売却前に税理士へ相談し、利用できる特例を確認しておくことをおすすめします。
当事務所では、土地・建物を売却した場合の譲渡所得の計算や、1,000万円特別控除をはじめとする各種特例の適用可否についてご相談を承っております。土地の売却をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は令和8年8月現在の法令等をもとに作成しています。実際の適用にあたっては、個々の事情により取扱いが異なる場合があります。
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