税理士法人掛川総合会計事務所

中小企業向け研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)とは? 制度概要と活用ポイントを解説

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中小企業向け研究開発税制
(中小企業技術基盤強化税制)とは?
制度概要と活用ポイントを解説

中小企業向け研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)とは? 制度概要と活用ポイントを解説

2026/07/08

 企業が継続的に成長していくためには、新製品・新サービスの開発、既存製品の改良、生産性向上に向けた技術開発など、研究開発への投資が重要です。しかし、研究開発には多くの資金や時間を要するため、とりわけ中小企業にとっては大きな負担となる場合があります。

 こうした研究開発投資を税制面から支援する制度として設けられているのが、「中小企業向け研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)」です。

 本記事では、制度の概要、対象となる費用、税額控除の仕組み、実務上の注意点について解説します。

目次

    1. 中小企業技術基盤強化税制とは

     中小企業技術基盤強化税制とは、青色申告書を提出する中小企業者等が試験研究を行った場合に、その試験研究費の一定割合について法人税額から税額控除を受けることができる制度です。

     税額控除とは、算出された税額そのものを直接減額できる仕組みです。そのため、適用を受けられる場合には節税効果が大きく、資金繰りの改善にもつながる可能性があります。研究開発に積極的に取り組む企業にとって、設備投資や人材投資を後押しする重要な税制優遇措置の一つといえるでしょう。

    2. 対象となる中小企業者等

     本制度の対象となるのは、主に次のような法人です。

     ・資本金または出資金が1億円以下の法人

     ・資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人、一定の個人事業主

     ただし、資本金要件を満たしていても、大法人との支配関係がある法人や適用除外事業者等に該当する場合には、本制度の適用を受けられないことがあります。

     特にグループ会社や子会社に該当する場合は、単純に資本金だけで判断できないケースもあるため、事前確認が重要です。

    3. 試験研究費とは

     税制上の「試験研究費」とは、新製品、新技術、新サービスの開発や、既存製品の改良・品質向上などを目的として支出した費用をいいます。

     具体例としては、次のような費用が該当する可能性があります。

     ・研究開発部門に従事する従業員の人件費

     ・試作品製作のための材料費

     ・外部委託した研究開発費

     ・実験、分析、検査に要する費用

     ・一定のソフトウェア開発費用

     一方で、通常の品質管理、営業活動、市場調査、既存製品の単なる維持管理などは、研究開発に該当しないケースが多いため注意が必要です。

     実務上は、「その支出が新たな知見の獲得や技術的課題の解決を目的としているか」が判断のポイントとなります。

    4. 税額控除の仕組み

     本制度では、試験研究費の一定割合を法人税額から控除することができます。

    【控除率】

     控除率は、原則として試験研究費の12%です。さらに、試験研究費の増加率や売上高に占める試験研究費の割合が一定の要件を満たす場合には、控除率の上乗せ措置が適用され、最大17%まで引き上げられる可能性があります。税額控除は損金算入とは異なり、算出された法人税額から直接差し引かれるため、利益が出ている企業ほど節税メリットを実感しやすい制度といえます。なお、控除率や上乗せ要件は税制改正により見直されることがあるため、適用年度ごとの確認が必要です。

    【控除上限額】

     税額控除額には上限があり、原則として法人税額の25%までしか控除できません。

    ただし、試験研究費が大きく増加している場合など、一定の要件を満たす場合には控除限度額の上乗せ措置が適用され、最大35%まで拡大される場合があります。そのため、多額の研究開発費を支出していたとしても、法人税額が小さい場合には控除額が制限されることがあります。

     研究開発費の集計だけでなく、当期の利益水準や納税額も踏まえた事前試算が重要です。特に利益変動が大きい企業では、「制度の適用はできるが、控除しきれない」というケースも実務上少なくありません。

    5. 制度活用時の注意点

     本制度を活用するうえで、実務上特に重要なポイントは次の2点です。

    ① 試験研究費の区分管理

     研究開発関連費用を通常経費と区別せず処理していると、申告時に対象費用を正確に集計できません。

    会計処理の段階から、研究開発費に関する補助科目や管理表を設け、対象支出を明確にしておくことが重要です。

    ② 証憑資料の保存

     税額控除の適用を受けるためには、費用の内容や研究開発の実態を説明できる資料が必要です。例えば、

     ・契約書

     ・請求書

     ・開発計画書

     ・作業記録

     ・研究報告書

    などを整理・保存しておくことで、税務調査時にも適切に説明しやすくなります。

    6. 研究開発税制は製造業だけの制度ではない

     研究開発税制というと製造業向けの制度と思われがちですが、必ずしもそうではありません。例えば、

     ・IT企業のシステム開発

     ・建設業の施工技術改善

     ・食品業の新商品開発

     ・サービス業の業務改善ツール開発

    なども、内容によっては対象となる可能性があります。

     「研究所がないから対象外」「製造業ではないから関係ない」と考えるのではなく、自社の取り組みが研究開発に該当するか検討することが重要です。

    7. まとめ

     中小企業向け研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)は、研究開発に取り組む企業にとって、法人税負担の軽減につながる有効な制度です。一方で、試験研究費に該当する支出の判断や、控除率・控除限度額の計算には専門的な検討が必要となります。

     制度を有効活用するためには、決算申告の段階で検討するのではなく、日頃の会計処理や証憑管理の段階から準備しておくことが重要です。

     当事務所では、研究開発税制の適用可否の判定、試験研究費の整理、申告対応までサポートしております。研究開発に取り組まれている企業様は、お気軽にご相談ください。

     ※本記事は令和8年度税制改正の内容を踏まえて作成しています。実際の適用にあたっては、最新の法令・通達等をご確認ください。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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