令和8年度税制改正|少額減価償却資産が40万円に引き上げ!制度の概要と実務ポイントを解説
2026/06/01
令和8年度税制改正において、中小企業の設備投資を後押しする「少額減価償却資産の特例」に大きな見直しが入りました。
これまで取得価額30万円未満とされていた即時損金算入の対象が、40万円未満へと引き上げられたのです。この改正により、従来は固定資産として計上し、複数年にわたり減価償却していた資産の一部について、取得した年度に一括で経費処理できる範囲が広がりました。
本記事では、制度の基本から改正内容、実務上の注意点までを整理して解説します。
目次
減価償却の処理区分
現行制度では、取得価額に応じて主に三つの処理区分が存在します
まず、10万円未満の資産については、使用開始した事業年度において全額を消耗品費などとして経費処理が可能です。さらに、使用期間が1年未満のものについても同様に即時費用化が認められます。
この区分は最もシンプルで、かつ償却資産税の対象外となる点も特徴です。
※償却資産税とは
土地や建物以外の事業用資産(機械、設備、備品など)に課される地方税で、市町村が課税主体となります。毎年1月1日時点の所有資産を申告し、その評価額に基づいて税額が決定されます。
次に、10万円以上20万円未満の資産については、「一括償却資産」として処理する方法があります。この場合、取得価額を3年間で均等に費用配分します。
通常の減価償却とは異なり、途中で売却や廃棄をしても未償却残高を一括で費用化することはできず、あくまで3年間で均等に処理する点に注意が必要です。ただし、この方法を選択した場合、償却資産税の課税対象から外れるというメリットがあります。
そして、10万円以上40万円未満(改正前は30万円未満)の資産について、中小企業者等に限り適用できるのが「少額減価償却資産の特例」です。
青色申告を行っていることなどの要件を満たせば、取得価額の全額を使用開始年度に損金算入することが可能です。
対象はパソコンや備品といった有形資産にとどまらず、ソフトウェアなどの無形資産や中古資産にも及びます。ただし、年間の適用上限は合計300万円とされており、この点は従来から変更されていません。
少額減価償却資産上限引き上げ後の注意点
実務上、特に注意しなければならないのは適用時期の判定です。
今回の40万円基準は、施行日以後に取得し、かつ事業の用に供した資産から適用されます。つまり、同一事業年度内であっても、施行日前後で異なる基準が混在することになります。
そのため、請求書等で確認をして取得日と使用開始日を固定資産台帳で正確に管理することが不可欠です。なお、減価償却の開始時期は購入日ではなく「使用開始日」である点も見落とせません。
また、年間上限300万円の管理にも注意が必要です。単価上限が引き上げられたことで、1件あたりの金額が大きくなり、上限に到達しやすくなります。
複数の部署で設備投資を行う企業では、部門ごとの判断に任せるのではなく、全社的に管理する体制の構築が求められるでしょう。
さらに、10万円以上20万円未満の資産については、特例の適用と一括償却資産のどちらを選択するかが重要な判断ポイントとなります。
即時償却による法人税の軽減効果だけでなく、償却資産税の負担も含めた総合的なコストで比較する必要があります。
場合によっては、一括償却資産として処理した方がトータルで有利となるケースも少なくありません。
まとめ
本記事では少額減価償却資産の上限引き上げについて解説しました。
今回の改正は単なる金額基準の引き上げにとどまらず、実務判断の幅を広げる内容となっています。制度を理解するだけでなく、利益状況や投資計画に応じた最適な活用方法を選択することが必要です。
適切に活用すれば、資金繰りの改善や投資判断の迅速化につながる有効な制度であるため、改正内容を正しく理解し、戦略的に取り入れていくことが重要です。
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