税理士法人掛川総合会計事務所

同族会社と経営者との取引について

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同族会社と経営者との取引について

同族会社と経営者との取引について

2026/06/22

 現状日本の多くの法人が同族会社に該当し、その割合は約96%となっています。税務においては経営者(その親族を含む。以下同じ。)と同族会社はその納税者と実質一体で、利益調整や税負担調整が思うがままにできると考えられており、その防御策としていくつかの特例規定が設けられているため注意が必要です。同族会社と経営者の取引としては、個人が同族会社から利益供与を受ける場合と個人が同族会社に利益供与をする場合があります。前者は主に源泉所得税の範疇で、後者は申告所得税の範疇といえます。今回は同族会社と経営者の取引に係る申告所得税の場面について取り上げていきます。

目次

    1.同族会社への不動産貸付と賃料設定

     個人オーナーが所有する不動産を、自身が経営する同族会社へ貸し付けるケースは少なくありません。しかし、賃料の設定によっては税務上の問題が生じる可能性があります。

    不動産所得は、不動産を貸し付け、その対価として賃料を受け取ることで生じる所得です。そのため、受け取る金額が固定資産税や修繕費などの維持管理費用にも満たない場合は、実質的に費用の一部を負担してもらっているに過ぎないと判断され、不動産所得として認められないことがあります。

    この場合、不動産に係る固定資産税、借入金利子、減価償却費などを不動産所得の必要経費として計上できなくなる可能性があります。したがって、賃料は少なくとも通常の維持管理費用を上回る水準で設定することが重要です。

    また、個人オーナーが同族会社に対して著しく低い賃料で貸し付けた場合、個人の所得税負担を軽減する目的とみなされることがあります。その結果、税務署から「同族会社の行為計算否認規定」の適用を受ける可能性があります。

    もっとも、会社の業績悪化などにより、経営者として会社を支援する目的で一時的に賃料を引き下げている場合など、合理的な理由が認められるケースでは問題とならないこともあります。

    反対に、同族会社が所有する不動産を個人事業で利用し、相場より高額な賃料を支払う場合にも注意が必要です。必要経費が過大となり所得税負担が不当に軽減されると判断されれば、同様に否認の対象となる可能性があります。

    2.不動産管理会社を活用する際の注意点

     賃貸不動産を所有している場合、管理業務を不動産管理会社へ委託することがあります。

    管理業務には、入居者募集、家賃回収、建物管理などが含まれ、支払う管理料は不動産所得の必要経費となります。また、管理会社が建物を一括借上げし、入居者へ転貸する「サブリース(又貸し)方式」を採用するケースもあります。不動産管理会社を同族会社とすることで、管理料を通じて個人から法人へ利益を移転し、所得税と法人税の負担を調整できる場合があります。しかし、管理料の設定や業務内容によっては税務上の問題となるため注意が必要です。

     特に注意したいのは、同族会社の管理会社とは別に外部の管理会社へも管理業務を委託しているケースです。この場合、それぞれの会社が担当する業務内容を明確に区分しておかなければなりません。業務内容が重複している場合、同族会社への管理料の支払いについて合理性が認められない可能性があります。さらに、実際の管理業務を外部管理会社がすべて行っており、同族会社が実質的に何も業務を行っていないと判断された場合には、支払った管理料そのものが必要経費として認められない可能性があります。

     そのため、同族会社が担当する業務内容を明確にし、業務日報や管理記録などの証拠資料を整備しておくことが重要です。また、管理料率にも注意が必要です。過去には管理料率50%という極めて高率な事例が訴訟となったケースがあります。一般的な不動産管理料率は数%程度であることが多く、著しく高額な管理料は税務上問題視される可能性があります。

     ただし、税務上の判断は単純に管理料率の高低のみで決まるものではありません。業務内容や管理会社の役割、結果として税負担が不当に軽減されているかどうかなど、総合的な観点から判断されます。

    3.まとめ

     同族会社は、経営者やその親族など特定の株主によって支配されるため、一般的な第三者間取引と比べて利益調整や税負担の調整が行いやすいという特徴があります。

    そのため税法では、同族会社とその経営者との取引について、適正な課税を確保するための各種規定が設けられています。

     不動産の賃料設定や不動産管理会社の活用は、適切に運用すれば有効な経営手法となりますが、その一方で税務上のリスクを伴う場合もあります。同族会社との取引を行う際には、取引内容や金額について合理的な根拠を整理し、第三者に説明できる状態にしておくことが重要です。

     当事務所では、同族会社を活用した不動産管理や税務対策についてのご相談を承っております。税務・会計に関するお悩みがございましたら、お気軽に掛川総合会計事務所までお問い合わせください。

    監修 石川勝也税理士

    東海税理士会掛川支部所属/税理士登録2004年(平成16年)/税理士登録番号 99199/大学卒業後、会計事務所に入社し税理士を目指す。/税理士試験合格科目:簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、相続税/2005年独立開業/2009年税理士法人掛川総合会計事務所を設立/2023年代表社員に就任。 

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